椿と桜のツーショット

 椿と桜の花が共に咲いている風景は何とも印象的です(画像)。二つの花の期間はずれていても、重なる時期があり、それが今頃なのです。画像は湾岸道路横の歩道で見つけた椿の紅唐子と大島桜のツーショットです。

 『古今和歌集』の第一巻にある在原業平の「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のぞけからまし」は、桜に対する日本人の心情を見事に詠んでいます。椿も既に『万葉集』に登場する日本古来の花で、花の美しさのみならず、椿油、薬用として日々の暮らしに寄り添ってきました。さらに、椿は茶花として独特の存在となってきました。

 椿と桜は日本の花卉(かき)文化になくてはならない植物ですが、桜が日本的情緒をもつ植物であるのに対し、ツバキは国境を超え、世界の花木に変身しました。その違いを直感的に示しているのが画像なのかも知れないと思っています。