映画「Steel Magnolias(マグノリアの花たち)」の舞台はルイジアナ州。タイトルのマグノリア(タイサンボク)は州の花で、南部女性の代名詞として使われてきました。タイトルの「Steel Magnolias」は「鉄のマグノリア」ですから、花のように優雅に見えても、鉄のように頑強な心をもつ南部女性という意味です。
やはりアメリカ南部のサウスカロライナ州の田舎町セレニティを舞台にしたのが「Sweet Magnolias」。こちらはこの町に住む3人の女性を中心に町の日常生活を描いているテレビドラマで、Netflixで視聴できます。
マグノリア(タイサンボク、Magnolia grandiflora)はアメリカ南部のルイジアナ州とミシシッピー州の州花で、モクレンやコブシの仲間です。マグノリアは北アメリカ原産の常緑高木で、初夏に大輪の白い花を咲かせる樹木。花の直径は20〜30センチにもなり、日本の花木では一番大きな花を咲かせます。湾岸地域でもマグノリアの花が咲き始めていますが、花は樹の高いところに多く、鑑賞するのが厄介です。
「泰山木」の名前は花、葉、樹形などが大きくて立派なことから、中国の泰山に喩えたものです。また、花の形を大きな盃に見立てて「大盃木」、それから次第に訛って「泰山木」になったという説や、大きな樹形が大山のように見えるところからきているという説があります。そのため、私はずっとタイサンボクは中国が原産だと信じて疑いませんでした。でも、タイサンボクは1873(明治6)年にアメリカから日本へ渡来したとされています。文化や常識にはしばしば嘘が含まれていて、簡単に騙されるのです。だからこそ文化や常識は魅力的であり、そして、曲者なのです。ハスやスイレンに似た歴史を持つのがモクレンやコブシ。ハスやモクレンは私には代表的な仏花でした。ですから、モクレンもコブシもマグノリアの仲間で、アメリカ南部を代表する花の親戚だということがピンとこないのです。そして、植物としての近縁関係と、生活の中の花としての近縁関係とが一致していない典型例になっていたのです。
マングリエティア・インシグニス(Manglietia insignis)はモクレン科モクレンモドキ属の常緑高木。マグノリアの仲間で、中国の西部からヒマラヤ、ミャンマーにかけて分布します。和名は「木蓮擬き(モクレンモドキ)」、別名が「ベニバナモクレン(紅花木蓮)」。私が知るモクレンモドキの花は白で、花姿もハクモクレン、コブシに似て、私たちを虜にするような見事なものです。
私の違和感は移入種や園芸種が国際的、大域的であることを考えるなら、格段取り上げる必要のない、誤った違和感に過ぎないのです。移入種や園芸種であることはローカルだったものが大域化、国際化されたことなのですから、それらはアメリカ的でも、中国的でもあり、既に対立するものではないのです。

(タイサンボク)

(タイサンボク)

(ハクモクレン)

(モクレンモドキ)

(モクレンモドキ)