タイサンボクの名前は花、葉、樹形などが大きくて立派なことを賞賛しようと、中国山東省にある名山泰山に喩えたものと言われる。また、花の形を大きな盃に見立てて「大盃木」、それから次第に訛って「泰山木」になったという説や、大きな樹形が大山のように見えるところからきているという説がある。「マグノリア」とも呼ばれるが、それはマグノリア(モクレン)科の総称。
タイサンボクはモクレン属の常緑樹で、学名はMagnolia grandiflora。明治12年にアメリカ大統領のグランド将軍が来日したときに、将軍婦人が記念に上野公園に植えたのが変種のホソバタイサンボク(細葉泰山木)である(今も健在)。
モクレンは3月から4月初旬に開花するが、タイサンボクは今花が咲いている。タイサンボクの花は大きいのだが、遥か頭上のものが多く、意外に気づかれない。そのため、下から指をくわえながら見上げるしかない。外観や中国風の名前から中国原産と思いがちだが、タイサンボク自体は北米南部が原産で、ミシシッシピー州とルイジアナ州の州花。
タイサンボクの葉の表面には光沢があり、裏面は毛が密生して、錆色に見える。日本では公園樹としてよく植栽されていて、樹高20m以上にもなるが、庭木として植えられることも多い。5月から6月にかけて咲く花は直径10センチから20センチと相当に大きく、圧倒的な存在感を持つ。花には芳香があり、特に咲き始めは香りが強い。
*モクレンは中国原産、タイサンボクは北米原産となれば、ハスとスイレンの対を思い出してしまうのは私だけではないだろう。