3月に入っての白い花たち

 3月に入り、ツバキが花をつけ出し、サザンカやカンツバキの花は終わりに近づいています。サザンカと同じ頃に花をつけるのがツバキ科のゴードニアラシアンサス(Gordonia lasianthus)。北アメリカ原産の常緑高木で、サザンカに似た白花を多数咲かせます。ナツツバキ(シャラの木)に似た花を咲かせるので、別名が「ジョウリョクシャラ(常緑沙羅)」。ゴードニアはJR有楽町駅の日比谷口を出た辺りから街路樹として植えられていて、三菱1号館美術館の辺りまで続きます。

 一方、2月下旬にはミヤマガンショウ(深山含笑、ミケリアマウディアエ、Michelia maudiae)が花をつけていました。ミヤマガンショウは中国原産のモクレンオガタマノキ属の常緑高木。ハクモクレンに似た一重から二重の芳香をもつ白い花が咲きます。ハクモクレンにしては緑の葉があり、しかも開花も早いのが特徴。

カラタネオガタマ(唐種招霊)は中国南部原産のモクレン科の花木で、江戸時代に日本に渡来。トウオガタマ(唐招霊)とも呼ばれ、ミヤマガンショウと同じ常緑のオガタマノキ属。カラタネオガタマの花は、バナナのような香りがして、中国名は「含笑」、「含笑花」。花びらが全開しない含み笑いのような花の形からきていて、それがミヤマガンショウの由来ではないのか。これで「ガンショウ」はわかったが、「深山」が「シンザンでなく、ミヤマである」理由は不明。

 これからモクレン科の木々が花をつけ出しますが、中国のモクレン、日本のコブシ、アメリカのマグノリアのどれも甲乙つけがたしで、今年も十分に楽しめそうです。