「野ばら」はシューベルトの歌曲ですが、野生のバラは「ノイバラ」。純白の5枚の花弁と黄色のシベ、椿のような照り葉、淡い芳香、たくさんの棘などが特徴の原種バラがノイバラです。有棘の低木類のバラを茨(いばら)と呼んでいて、野生であることから「野」がついて「ノイバラ」となりました。その別名がノバラ(野薔薇)で、日本のバラの代表的な原種です。日本ではバラの野生種が人類よりも早くから自生していて、14種ものバラの野生種があります。バラは既に『万葉集』や『常陸風土記』に登場しています。防人の歌はノイバラを指し、『源氏物語』や『枕草子』にも「そうび(薔薇)」の記述があり、これは中国から渡来したコウシンバラだと思われます。日本には原種の野バラが宮中で栽培されていて、江戸時代に入り、それらが広く栽培され、江戸末期には西洋バラも栽培され始めました。
キクは7~8世紀に中国から渡来しましたが、バラは日本に自生していました。バラの先祖を辿っていくと、アジアから日本にかけての自生種8種類に行き着きます。ノイバラ、ハマナスは日本原産なのです。
「人生は茨の道」と「薔薇色の人生」とは大違い。でも、イバラは棘のある木の総称(茨、棘、荊)で、日本の「薔薇」の原種「ノイバラ」の古称です。ノイバラ(野茨)はバラ科の落葉性のつる性低木で、別名はノバラ(野薔薇)。ノイバラの花の直径は2~3センチで、芳香は強く、香水にも使われます。既に記したハマナス(浜茄子、浜梨)はバラ科バラ属の落葉低木。自生する野生のバラで、ナスでもナシでもありません。ハマナスの名前が広く知られるようになったのは、1960年に森繁久彌が作詞作曲した「知床旅情」でした。
こうして、「薔薇」はバラ科バラ属に属する植物の総称、「茨」は棘のある植物の総称で、ノイバラもハマナスも日本原産のバラだというのがとりあえずの結論です。画像はノイバラ、最後の画像が白花のハマナスです。



