1月のナンキンハゼの白い実の並木

 私は秋のナンキンハゼが好きで、昨秋も随分と楽しませてもらった。紅葉や黄葉の色は、アントシアニンクロロフィル、カロテノイドの三種の色素によって決まる。アントシアニンは多くの植物に含まれ、植物の花や実などの赤や青、紫など幅広い色を生み出す。一方、クロロフィルは光エネルギーを吸収して、自らのエネルギーをつくる重要な化学物質で、緑色をつくる色素成分でもある。カロテノイドは黄色の色素で、紅葉する前の多くの葉に含まれる。花にも葉にも似たような化学反応が起こり、それが「花見」や「紅葉狩り」につながっている。

 ナンキンハゼの花には雄花と雌花があり,同じ株に両方の花が咲く。一方、イチョウは雌雄異株異花。雌雄同株だと親と同じ遺伝特性を受け継ぎやすいので、安定した環境では子孫を殖やしやすい。だが、子の特性が親そっくりなため、環境が不安定になると親子共倒れになる危険がある。一方、ヒトを含めた動物のように雌雄異株であれば(つまり、有性生殖であれば)、他家受精で、多様な子孫を作ることができ、不安定な環境では有利になる。

 そんな知識とは別に、小春日和の中のナンキンハゼの紅葉と黄葉だけでなく、1月の白い種子も見飽きない。ナンキンハゼは中国原産の落葉広葉樹で、10月終りには緑色の実の果皮が弾け、画像のような白い種子が残る。ナンキンハゼの蒴果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実のこと)が開いても、種子は果皮から離脱せず、紅葉期から落葉後まで長く樹上の枝先に残り、白い種子が目立つようになる。そして、1月の今、見事な白い種子の並木になっている。ナンキンハゼは小さな個体が多いのだが、並木のナンキンハゼはいずれも大木で、10mを優に超えている。

*最初の画像は小春日の中のナンキンハゼの葉