オミナエシの花

 オミナエシ(女郎花)は秋の七草の一つだが、暫く前から咲いている。数本の茎をまっすぐに伸ばして株立ちになり、先端に多数の黄色い花をつける。花房は全体で15~20cmほどの大きさがある。6月から9月にかけて花を開き、相当期間楽しむことができる。同じ黄色の花でも、ヒマワリとオミナエシは随分と違う印象を私たちに与えてくれる。

 おこわが「男飯」、粟(あわ)ごはんは「女飯」。花が粟のように黄色くぶつぶつしていることから「女飯」が「おみなえし」となった、という説がある。今なら外観はサフランライスか。漢字で「女郎花」と書くようになったのは平安時代中期からと言われている。オミナエシも白い花のオトコエシも共にオミナエシ属で、交配可能となれば、でき上がるのがオトコオミナエシ(男女郎花)。今なら、女男郎花か。確かに人の社会も昨今は雑種が増えた。

 オミナエシの別名は敗醤(はいしょう)。敗醤はオミナエシ、オトコエシの根のことで、漢方薬オミナエシの花が風にそよぐ様子はいかにも女性的で、かつての「女郎」は「美しい人」を意味していた。歌にも盛んに詠まれ、『万葉集』に14首、『古今和歌集』に17首ある。