2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ヤブカンゾウの八重の花

ワスレグサ(忘れ草、Hemerocallis fulva)はワスレグサ属の多年草の一種で、別名がカンゾウ。古来よりワスレグサの花の美しさを見ると「憂いを忘れる」といわれ、万葉集にも5首詠まれている。忘れ草と言うと、ワスレナグサを連想するが、野草としてよく目…

マサキの花

マサキ(柾、正木、ニシキギ科ニシキギ属の常緑低木)とサカキ(榊、賢木、栄木、モッコク科サカキ属の常緑小高木)、さらに真榊となると、私の頭の中では子供の頃から混同したままで、神道と植物の関係もしっかり考えるべきだと思っています。 マサキの学名…

方便の功罪(3):果物

私たちに馴染み深い果物類について、簡単にその由来をまとめてみましょう。 まずはミカン類。ミカン類の歴史は古く、『日本書紀』や『魏志倭人伝』にも果物として橘(たちばな)が言及されています。『古事記』に登場する田道間守(たじまもり)が病気静養の…

ユリの白い花

ヨーロッパでは長い間マドンナリリーのことを「白いユリ」と呼んでいました。日本から「鉄砲ユリ」がヨーロッパに渡ると、白いテッポウユリとそれまでの「白いユリ」を区別するために「マドンナリリー」と呼ばれるようになりました。 マドンナリリーは古くか…

コンカドールの大きな花

6月も中旬になり、大きなユリの花をあちこちで見るようになった。ユリの代表と言えばカサブランカが思い浮かぶ。カサブランカは初夏になると大輪の花を咲かせ、絢爛豪華な花と香りを楽しむことができる。純白のカサブランカに対し、黄色の色が入ったのがイエ…

ゼフィランサスの花たち

ゼフィランサスは白い花を咲かせるタマスダレ(Zephyranthes candida)とピンク色の花のサフランモドキ(Z. carinata)が最もよく親しまれています。白い花を咲かせるタマスダレとピンク色の花のサフランモドキは日本に明治初期に入ってきました。特に、タマ…

ヤマトシジミ

ヤマトシジミは最近都会でもよく見られる小さなシジミチョウです。翅の表面はやや光沢のある水色で、裏面には灰色地に黒い斑紋が散りばめられています。翅の縁にそって二つずつの紋が並びます。前翅、後翅ともに翅の中央に小さな「く」の字の形をした模様が…

方便の功罪(2):仏教の三大聖樹

仏教には三つの聖樹があります。それぞれの樹には釈迦と関係の深いエピソードがあり、それが経典に述べられてきました。 1無憂樹 無憂樹は「阿輸迦の木(あそかのき)」と呼ばれるインド原産のマメ科の植物で、黄色から橙色の花を咲かせます。その名の通り、…

キキョウの花

キキョウ(桔梗)は6月から開花する夏の花で、「秋の七草」にもなってきた。漢名の「桔梗」を音読みしたら「ききょう」で、花の色は紫、青または白。その清楚な姿や色から武士たちに好まれたようで、江戸城には「桔梗の間」や「桔梗門」がある。また、万葉集…

ブーゲンビリアの花

このタイトルで最初の画像を見ると、最初の画像の花は中心の白っぽいものだと思う人が何人かはいるのではないか。でも、二枚目の画像となると、背後の緑の葉が眼に入るためか、赤紫色のものがブーゲンビリアの花だと思う人が増えるのではないか。最後の画像…

ユリの花

あちこちでユリの花が咲いている。私にはユリが野生かどうかの見極めがなかなかできない。最初の二枚の画像はオレンジリリーと思われるが、残りの二枚はまるで自信がない。それにしても改めて画像を見ると、とても強烈で、残酷ささえ感じてしまう。 オレンジ…

方便の功罪

「方便」を広く解釈すれば、私たちが生きる時の手段や方法で、その最たるものが言語や知識です。さらに、それらを使った物語は世界や自然を知り、理解するには欠かせない方便として利用されてきました。方便とは生きる手段、生きる工夫、生きる策略、生きる…

ツマグロヒョウモンの雌

ツマグロヒョウモンは暖かい地域を好むチョウですが、今では温暖化のため晩秋でも見ることができます。湾岸地域だけでなく、あちこちでツマグロヒョウモンが生息域を拡大しているようです。 雌は前翅の先端部表面が黒(黒紫)色地で白い帯が横断し、ほぼ全面…

ペンタスの花

既に熱中症になる人が出始めているが、暑くなると登場するのがぺンタス。ペンタスは暑さに負けずに長期間開花し、暑い夏でも元気に咲いてくれる。それもその筈で、ペンタスは熱帯アフリカ原産の熱帯植物。成長しても高さは50cmほどまでで、手軽に夏を楽しむ…

ムラサキシキブとコムラサキの花

コムラサキはシソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、北海道及び青森を除く日本各地の山野だけでなく、中国や朝鮮半島にも分布する。同属のムラサキシキブとともに紫式部にちなんで名付けられた。ムラサキシキブは樹高が3mにもなり、いかにも木という感じだが…

ランタナの花

ランタナ(学名Lantana camara)はクマツヅラ科の常緑小低木で、中南米が原産。もっぱら観賞用に栽培され、和名はシチヘンゲ(七変化)。 画像が示すように、鮮やかな色の花をつけ、その色が次第に変化する。和名はその変化に由来する。開花時期は、6月から…

花と昆虫

植物に眼を凝らしていると、動物が必ず眼に入ってくる。花の場合は特にそうである。何とも当たり前のことなのだが、それで私などは心躍るのだから、自然の驚異も実は日常茶飯事ということになる。 シロテンハナムグリ、コアオハナムグリ、ナミテントウがイジ…

ニチニチソウの花

初夏から晩秋まで次々に花をつけ、私たちを日々和ませてくれるのが「日日草」。ニチニチソウを見るといつも想起するのは「日日是好日(にちにちこれこうにち、にちにちこれこうじつ)」という禅語。『碧巌録』第六則に収められている公案で、「日々是好日」…

ヒメツバキ(イジュ)の花

ヒメツバキは日本の南西諸島から東ヒマラヤ、東南アジアまで広く分布し、樹高が40mにもなるものがあります。現在は南西諸島からヒマラヤに分布するヒメツバキと、東南アジアに分布する亜種の二つにまとめられています。沖縄ではイジュと呼ばれています。 ナ…

シロバナシナガワハギの花

ヤマハギの紫色の花が咲き出している。ヤマハギやセンダイハギなど、ハギの仲間は実に多いが、その一つが路傍のシロバナシナガワハギ(白花の品川萩)。シロバナシナガワハギもハギの一種で、総状花序に白い蝶形の小花がたくさん咲く(画像)。シロバナシナガ…

ネムノキの花

ネムノキ(合歓木、合歓の木)はマメ科ネムノキ亜科の落葉高木で、別名がネム、ネブ。夜になると小葉が閉じて垂れ下がる就眠運動を行うことから名前がついた。また、「合歓木」は中国でネムノキが夫婦円満の象徴とされていることからつけられた。 子供の頃、…

ダンゴギク(団子菊)の花

キク科のヘレニウム(Helenium)の別名はダンゴギクで、原産地は北アメリカ。開花は6~10月。花芯が盛り上がって独特のユーモラスな姿になり、暖色系の花色が夏の花壇を彩る(画像)。花期が長く、花つきもよく、野趣溢れる植栽によく使われる。 へレニウム…

アカスジカメムシの成虫

画像からわかるように、アカスジカメムシは黒色に5本の赤い縦条を持つ派手な姿をしている。ノラニンジンなどセリ科の植物の花によく見られ、多数の個体がよく見られる(画像の背景の花もノラニンジンの園芸種)。 赤と黒のはっきりとした模様は警戒色で、鳥…

アフリカアヤメの花:再訪

アフリカアヤメ(アフリカ・アイリス、阿弗利加菖蒲)はアフリカのエチオピアから南アフリカ原産で、アヤメ科ディエテス属の常緑多年草。春から夏に細長い花茎を出し、茎頂に白い6弁花を咲かせます。3枚の外花被片に太い黄色の斑紋が入り、3枚の花被片には…

アメリカデイゴ(アメリカ梯梧)の花

アメリカデイゴはマメ科デイゴ属の落葉低木で、ブラジル南東部からアルゼンチン北部が原産。日本には江戸時代に渡来しました。暖地では庭木や街路樹として植えられ、鹿児島県の県木にもなっています。湾岸地域でも少なくありません。6月から9月頃に、蝶形…

ナツツバキを巡って

昨夜ナツツバキについて記した。その別名がシャラノキで、多くの日本人はサラソウジュ(沙羅双樹、娑羅双樹)を連想する。サラソウジュはフタバガキ科サラノキ属の常緑高木。幹高は30mにも達し、春に白い花を咲かせ、ジャスミンにも似た香りを放つ。仏教では…

ナツツバキの白い花

ナツツバキ(夏椿)はツバキ科の落葉高木で、別名がシャラノキ。名前の通り、6月~7月にツバキに似た白い花を咲かせる(画像)。新緑、紅葉、幹の様子が美しく、湾岸地域でもあちこちに植えられている。葉は長さ10センチほどで、表面の葉脈は凹み、裏面に…

アフリカハマユウの花

ヒガンバナ科のアフリカハマユウ(Crinum latifolium、阿弗利加浜木綿)は南アフリカ原産。花茎を伸ばし、先端に散形花序を出し、白いユリのような漏斗状の花をたくさん咲かせます。花は夜中に満開になります。芳香のある虫媒花で、球形の果実をつけます。白…

ヒメハラナガツチバチとコヒルガオ

コヒルガオの花に入り込んでいるのはツチバチの仲間のヒメハラナガツチバチ。キオビツチバチ、キンケハラナガツチバチかとも思ったのだが、素人判定ながらヒメハラナガツチバチの雌と思われる。なぜ潜り込んでいるような姿勢をとっているのかはよくわからな…

紫陽花小考

アジサイ(紫陽花)はアジサイ科アジサイ属の落葉低木。ホンアジサイは単にアジサイとも言われ、日本原産のガクアジサイの栽培種で、花序のほとんどが装飾花からなる手毬咲き状のアジサイ。そのガクアジサイが西洋に渡り、品種改良されたのがセイヨウアジサ…