ニチニチソウの花

 初夏から晩秋まで次々に花をつけ、私たちを日々和ませてくれるのが「日日草」。ニチニチソウを見るといつも想起するのは「日日是好日(にちにちこれこうにち、にちにちこれこうじつ)」という禅語。『碧巌録』第六則に収められている公案で、「日々是好日」とも表記され、「ひびこれこうじつ」とも読む。

 「日日是好日」は、文字通りには「毎日が好い日」という意味である。そこから、「日々の良し悪しを一喜一憂することは誤りで、常に今この時が大切なのだ、あるいは、まずはあるがままの世界をそのまま受け入れよう」という禅での解釈が生まれる。

 私などはニチニチソウを見ていると、毎日が好日であることは何と実現しがたく、毎日が問題だらけだと感じ、それをいつの間にか受容している自分に気づき、驚くのである。

 「日日是好日」の反対は「日日是排日」だが、上のような禅語の解釈に従えば、同じ意味になる。そんな禅問答を易しく包み込む度量をニチニチソウは優しく与えてくれるように思えてならない。