2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ザクロの八重の花(3):ヤマブキの八重

人の判断による美しさをもっぱら追求すると、その結果として子孫を残すという能力を失わせるのが八重咲きの本性だと述べた。それを端的に表したのが次の歌。 七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つなきぞ 悲しき 太田道灌(1432-1486)があるとき鷹狩りで雨…

ヤナギバチョウジソウ(柳葉丁字草)の花

キョウチクトウ科のヤナギバチョウジソウはチョウジソウの仲間でアメリカ東部から中南部が原産。日本に分布するチョウジソウは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。ヤナギバチョウジソウは園芸用として栽培されている。全草にアルカロイドを含む有毒植物。 …

ザクロの八重の花(2)野生のバラのハマナスとナニワイバラ

ハマナス(浜茄子、浜梨)はバラ科バラ属の野生のバラ。夏に赤いや白の花を咲かせる(画像)。湾岸地域には意外に多く、あちこちに植えられ、花を咲かせている。ハマナスは英語で「Ramanas Rose(ラマナス・ローズ)」と呼ばれ、日本語の「ハマナス」が元に…

ネジバナの花とヒラタアブ

6月に入り、あちこちでネジバナの花が咲き出している。らせん状に花が咲くので「ネジバナ」とは何とも直接的な命名だが、ネジバナはラン科の小型の多年草、別名がモジズリ(綟摺)で、興味深い特徴をもっている。花序がらせん的で、右巻きと左巻きの両方があ…

ザクロの八重の花(1)

昨日雨が上がった午後に街を歩いていると、大きなザクロの木に気づく。その木には花がたくさん咲いていて、それが雨に濡れていて、一重の普通のザクロの花とは違って、花の白さが妙に目立ったのである。 ヤマブキは一重の花も八重の花もあり、それが当たり前…

アサギリソウ(朝霧草)の葉

キク科のアサギリソウは細かい繊細なシルバーリーフが美しい多年草。「アサギリソウ」の名前はこんもりとした銀色の草姿が朝霧の煙っているように見えることに由来する。株がある程度育つと、ヨモギの花に似た形の黄緑色の花を咲かせる。 アサギリソウは北陸…

ハッサク、グレープフルーツ、ポンカンの実から…(2)

系統発生は個体発生の積み重ね、繰り返し、反復です。系統発生は個々の個体発生の積み重ねであり、個体発生の僅かな変異を反復的に積み重ねた結果です。この主張になんら不思議はなく、「個体発生は系統発生の繰り返し」という反復説とは正反対であり、それ…

アナベルの花

アジサイ科のアナベルの別名はアメリカアジサイ、セイヨウアジサイで、原産地はアメリカ。アジサイの仲間の落葉性低木です。初夏に大きな花が開花します。花色は、咲き始めはグリーン、咲き進むにしたがって白くなり、夏を過ぎると再び秋色グリーンに変化し…

謎のノラニンジンの花

ノラニンジンは野菜のニンジンの野生種と言われています(*)。湾岸地域でもめっきり減った空地、草地で今年も元気に花をつけ出しています。昭和初期に牧野富太郎が見つけ、命名しました。ノラニンジンはヨーロッパ原産の外来植物。葉柄は長さ3~10㎝で、画…

七福神の花

エケベリア・セクンダ(Echeveria secunda)はメキシコ原産で、ベンケイソウ科エケベリア属の常緑多肉性多年草です。青緑色で白粉を帯びた葉がロゼット状に付きます。葉はバラの花弁のような形で、葉先端に棘状の突起があります。今、葉腋から細長い花茎を出…

キリンソウの花

キリンソウ(麒麟草)はベンケイソウ科に属する多年草で、岩場や乾燥しやすい草原に生える多肉質の植物。春になると多数の茎がまっすぐに伸びて株立ちになり、高さ20~50cmになります。葉は多肉質で、5月に茎の先端に花茎を放射状に広げ、星形で径1cm弱の黄…

コムラサキの花

コムラサキはシソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、北海道及び青森を除く日本各地の山野だけでなく、中国や朝鮮半島にも分布する。同属のムラサキシキブとともに紫式部にちなんで名付けられた。ムラサキシキブは樹高が3mにもなり、いかにも木という感じだが…

ハッサク、グレープフルーツ、ポンカンの実から…(1)

柑橘類はミカン科のミカン属、キンカン属、カラタチ属に属する植物の総称。中でもミカン属には重要な果実が多く、日本では多くが栽培されています。柑橘の「柑」はミカン、「橘(たちばな)」は古くから観賞用として栽培されていたミカン科の植物です。柑橘…

ウシノシタグサ(牛舌草)の花

ウシノシタグサはムラサキ科ウシノシタグサ属の栽培種で、アンチューサとも呼ばれる。日本へは明治半ばには渡来。高さ0.9~1.5mになる多年草。全体に白色の粗い毛が生えている。 地中海沿岸地方が原産で、5~6月に碧藍色の花をつける。茎や葉は密に毛が生え…

モモの実

ヤマモモの実について記しましたが、モモの実も忘れてはなりません。モモ(桃)はバラ科スモモ属の落葉小高木で、ヤマモモとは別物です。中国原産で、食用、観賞用として世界各地で栽培されています。既に観賞用のハナモモについて何度か言及しました。春に…

ヤマモモの実

ヤマモモ(山桃)はヤマモモ科の常緑樹です。「ヤマモモ」の由来は、山に生え、桃の実のような実をつけるからですが、バラ科のモモとは無縁の植物です。光沢のある常緑の葉で、樹形も好まれます。そのため、湾岸地域では公園や街路によく植えられていて、そ…

ツユクサの青い花

ツユクサは夏の早朝に鮮やかな青色の花をつけます。子供の頃に見た、朝露の中のツユクサの花色は今でも鮮明に憶えています。そのツユクサが今年も咲き出しました。ツユクサの青い花は私に夏を感じさせる色そのものです。 ツユクサは広心形の苞の中から、花弁…

ユリの花たち

あちこちでユリの花が目立つようになってきた。白、黄色、赤などの花が眩しい。どのユリの花も私たちを惹きつけてやまない。私にはユリの同定がとても厄介で、正直なところよくわからない。ユリの原種は北半球に約100種類が分布し、そのうち15種が日本に自生…

ハンショウヅルの花

キンポウゲ科センニンソウ属のクレマチスは「蔓性植物の女王」と呼ばれ、北半球に野生で生えている。樹木など、近くのものに蔓を絡ませて生長し、大きい物だと5m以上になる。 品種改良が進められたクレマチスは今では230以上の品種がある。花は大型、色も豊…

トレニアの花

この2、3年の間にトレニアを見る機会がめっきり減った。もっとあちこちで見られたのだが、随分少なくなった。それでも、トレニアは春から晩秋まで暑い夏にも負けずに、花を咲かせてくれる。2~3cm程度のスミレに似た花を株いっぱいに咲かせることから、別…

キムネクマバチ(クマバチ)とキオビツチバチ

花が咲き、そこにハチが集まる。まだこんな地上の風景を見ることができる。戦争があり、温暖化が進行していても、その風景はこれまで私たちが見慣れたもの。嵐の前の静けさなのかも知れない。 キムネクマバチ(クマバチ)の体長は20-24mm。ずんぐりとした体…

ムラサキカタバミの花

6月に入り、湾岸地域には多くの花が咲いている。今年特に目立つ花がムラサキカタバミ(紫片喰、紫酢漿草)で、あちこちに咲き乱れ、緑の中で薄紫色の斑点を生み出している。ムラサキカタバミの別名はキキョウカタバミ(桔梗片喰)で、南アメリカ原産。江戸…

ザクロの花

最近は湾岸地域でもよく見るようになったのがザクロ(石榴)で、その花が今年も咲いている。青空の中の赤い花は人を惹きつける。子供の頃、近所にザクロの木があって、不規則に裂けた実と種の多さ、そして酸っぱく、プチプチとした食感が強く記憶に残ってい…

花言葉とバラ

花について調べていると、花言葉がよく出てきます。そこには花への人の思い入れや望みが溢れていますが、時には迷信や誤謬の塊でもあり、とても人間的なものです。 その人間的な花言葉の発祥は17世紀頃のトルコらしい。花に思いを託して恋人に贈る風習がトル…

メラレウカ・リナリイフォリアの白い花

メラレウカ・リナリイフォリア(Melaleuca linariifolia)は公園や庭園の観賞用として栽培され、スクリーンや防風林としても利用されているとのことだが、私がこの植物を見るのは久し振りである。フトモモ科メラレウカ属の常緑樹で、「スノーインサマー」と…

シャゼンムラサキの花

シャゼンムラサキ(車前紫)はヨーロッパ原産で、ムラサキ科シャゼンムラサキ属の一年草。シャゼンムラサキは道端や海岸近くの野原に生え、全体が白い毛で被われています(画像)。5月から6月にかけ、青紫色、白色やピンク色のベル型の小花を咲かせます。 奇…

シロバナムラサキツユクサの花

ツユクサはツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。ツユクサは夏の花で、その花の青さは早朝の露の下りたあぜ道を思い出させる夏の青色。朝露を連想させることから「露草」と名付けられたが、確かに午後には青色がすっかり見えなくなる。ツユクサには青の他に白…

ダリアの花たち

夏になればダリア、ダリアは夏らしい花の代表格で、キク科ダリア属の多年生植物。18世紀にメキシコからスペインにもたらされて以来、長い時間をかけて品種改良が行われ、多種多様な品種が生み出されてきました。日本には江戸時代にオランダ人が持ち込み、江…

立葵と鶏冠

タチアオイの花弁の付け根の部分をはがすと、そこは粘着性があり、肌に張り付く。それが赤いタチアオイなら、張り付いた花弁はニワトリのトサカに見える。そこから、タチアオイはコケコッコ花とも呼ばれてきた。 タチアオイが街中の庭や軒先に植えられていた…

サルビア・クレブランディの花

サルビア・クレブランディ(Salvia clevelandii)はカリフォルニア原産のサルビア。リング状に咲く花が何とも美しく、その上全草から漂う甘い香りが魅力的です。別名の一つがサンディエゴセージ。カリフォルニア州南部からバハカリフォルニアに分布し、初夏…