ザクロの花

 最近は湾岸地域でもよく見るようになったのがザクロ(石榴)で、その花が今年も咲いている。青空の中の赤い花は人を惹きつける。子供の頃、近所にザクロの木があって、不規則に裂けた実と種の多さ、そして酸っぱく、プチプチとした食感が強く記憶に残っている。カキやリンゴとは違って、ザクロは異国のものという印象があった。

 確かにザクロは10~11世紀頃に渡来している。種(タネ)が多いことから、アジアでは昔から子孫繁栄、豊穣のシンボルだった。唯一の女性のことを「紅一点」というが、これは王安石がザクロの林の中に咲く花を詠んだ詩から出た言葉。

 子供の私にはザクロやブドウはシルクロードで運ばれてきたエキゾティックな果物だった。ザクロの原産地ペルシャは現在のイラン、アフガニスタン辺りで、シルクロードを経てインド、中国、日本へと渡ってきた。