ザクロの八重の花(1)

 昨日雨が上がった午後に街を歩いていると、大きなザクロの木に気づく。その木には花がたくさん咲いていて、それが雨に濡れていて、一重の普通のザクロの花とは違って、花の白さが妙に目立ったのである。

 ヤマブキは一重の花も八重の花もあり、それが当たり前だと思っているが、ザクロの八重の花を見るのはこれが初めてで、老人の初体験に少々興奮したのは確かである。八重の花は私にザクロの木の存在を気づかせたのである。

 ヤエザクロ(八重石榴、花ザクロ)はザクロの花の八重咲き種。普通のザクロは晩夏に実ができるが、この花木は八重咲きで、結実しない。八重咲きの花は花芯が退化していて、実ができないものが多い。豊穣を象徴するザクロに実がつかないのでは、言い伝えは自己矛盾ということになる。

*バラは八重咲きでも実が出来るものが多いが、八重の花は実がつかないのが普通。ウメやヤマブキはその典型例。「七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つなきぞ 悲しき」