ハッサク、グレープフルーツ、ポンカンの実から…(1)

 柑橘類はミカン科のミカン属、キンカン属、カラタチ属に属する植物の総称。中でもミカン属には重要な果実が多く、日本では多くが栽培されています。柑橘の「柑」はミカン、「橘(たちばな)」は古くから観賞用として栽培されていたミカン科の植物です。柑橘類は若い時は葉緑素によって緑色をしていますが、成熟するにつれて葉緑素は分解消失して、カロテノイドという色素が残り、黄色くなってきます。

 画像はハッサク、グレープフルーツ、ポンカンが各1枚で、どれもとてもよく似ています。若く、青い実は成熟したものに比べ、区別がしにくいのが直ぐわかります。赤ん坊が誰もよく似ていて、成人の区別に比べると面倒であることは、ヒトだけでなく、ペットや家畜でも同様です。

 このような話をすると、生物の個体発生と系統発生の関係についてE・H・ヘッケルが1866年に提唱した「生物発生原則」が思い出されます。それは「個体発生は系統発生を繰り返す(つまり、短縮された急速な反復である)」というもので、「反復説」と呼ばれてきました。