東雲運河の川べりには僅かですが、狭い草原があり、そこにキキョウやヘメロカリスノ人工的な群生が見られることを半月ほど前に記しました。
ヘメロカリスはユリ科の多年草で、ニッコウキスゲ、ノカンゾウ、ヤブカンゾウ、ユウスゲなどがこの仲間の野性種です(画像はヤブカンゾウと思われます)。「ヘメロカリス」という聞き慣れない名前は品種改良された園芸品種を指します(私は「ヘメロカリですス」と聞くと、いつも「ピラカンサ」という名前を思い出してしまいます)。便利な命名なのですが、子供の好奇心を削ぐような気がしてなりません。
*ピラカンサはトキワサンザシ、タチバナモドキ、カザンデマリなどを含んだ名前
その「ヘメロカリス」はギリシャ語で「一日の美」のことで、花は朝開いて夕方には萎んでしまいます。でも、1本の花茎には多くの蕾をつけ、次々と咲いていくため、花は二週間程楽しめます。花が一日で萎れてしまうので英語では「Daily lily」と呼ばれます。
ヘメロカリスの原産地はアジアの極東地域で、日本ではニッコウキスゲやノカンゾウ、ヤブカンゾウ、ユウスゲ、エゾカンゾウなどの野生種が豊富です。そのため、ヘメロカリスは高原の花と考える人が多いと思います。アメリカで盛んに品種改良され、園芸品種は数え切れないほどあります。日本でも育種が行われています。
キキョウ(桔梗)は6月から開花する夏の花で、秋の七草の一つ。漢名の「桔梗」を音読みすれば、「ききょう」で、花の色は紫、青または白。別名は「オカトトキ」ですが、その意味は「岡に咲く神草」で、「更に吉」の意味があり、清楚な姿や色からも武士に好まれ、江戸城には「桔梗の間」や「桔梗門」があります。『万葉集』で山上憶良が詠った「朝顔」は桔梗のことです。
キキョウといえば、星形に開く一重咲きが定番。しかし、今では二重咲き、多重咲きの園芸品種も登場しています。キキョウの花色は白と紫の二色でしたが、桃系のキキョウも登場、さらに、濃い紫や藤色、青色などもあります。一方、野生のキキョウは絶滅危惧種なのですが、園芸では品種改良が重ねられ、5月下旬から咲く「五月雨桔梗」が売り出されたのは、もう何十年も前のことです。五月雨桔梗が普及して、キキョウの咲く時期が早くなると、今度は秋に咲く、遅咲きの「晩生桔梗」が生まれました。
温暖化の中でヘメロカリスとキキョウが咲く狭い草原は僅かであっても初夏の清々しさを感じさせてくれるのですが、最後の画像には遠くにオミナエシの黄色の花が見え、異なる季節が混在する今の気候を暗示しているようです。ヘメロカリス、キキョウ、そして、オミナエシが人工の草原で共生する姿は何を象徴しているのでしょうか。


