ユリとユリに似た花たち

 先日オニユリの花について述べましたが、今も様々なユリが花をつけています。昨今の流行に疎い私ですが、少し前までは確かカサブランカという白いユリが女王のように君臨していました。年配の私にはカサブランカ(Casablanca)と言えば、イングリッド・バーグマンが思い起こされ、彼女が白いユリのカサブランカに重なるのです。

 日本や中国の原産であるユウスゲカンゾウ類(ノカンゾウヤブカンゾウなど)から、品種改良によって生まれた園芸種はヘメロカリスと呼ばれていて、今は湾岸地域でもあちこちで見ることができます。ヘメロカリスの花は短命で一日で萎れてしまうため、英語ではDaylilyとも呼ばれます。訳せば、「一日ユリ」ということになるのでしょう。実際、ヘメロカリスはユリの花によく似ていて、ユリ科に分類されたこともあります。学名でもある「ヘメロカリス」はギリシア語で「一日」を意味する「へメロ」と、「美」と言う意味の「カロス」からつくられています。

 ヘメロカリスは暑さや寒さに強く、丈夫で育てやすい性質を持っています。草丈は30〜90cmほどで、花姿はユリによく似ています。花茎を伸ばした頂部に開花し、花色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色などがあり、葉に斑が入る品種もあります。ヘメロカリスの祖先はニッコウキスゲや禅庭花で、原種は中国・日本で見つかり、それを欧米で品種改良したものが今のヘメロカリスで、かつてはユリ科ワスレグサ属でしたが、今はツルボラン科ワスレグサ属です。

 花の見え方は人によって、年齢によって随分と異なります。「同じように見えても、異なっている」という表現は「見え方と在り方が異なる」ことを意味していて、上記のユリとヘメロカリスがその一例になるでしょう。見え方と在り方が様々に混合された結果が私たちの知り方につながっています。ユリもヘメロカリスもそれぞれの見え方と在り方がミックスされて、私たち一人ひとりが「ユリの花を知る」、「ヘメロカリスの花を知る」ことになるのだと思われます。

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