ヘメロカリス、あるいはノカンゾウ

 ヘメロカリスはユリ科多年草(現在は独立したヘメロカリス科として扱う場合も多い)で、ニッコウキスゲノカンゾウヤブカンゾウユウスゲなどがこの仲間の野性種として知られている。一般に、ヘメロカリスといえば、品種改良した園芸品種を指す。ヘメロカリスはギリシャ語で「一日の美」という意味。その名の通り、一つの花は朝開いて夕方から夜には萎んでしまうが、一つの花茎には30ほどの蕾をつけ、次々と順を追って咲いていく一日花で、英名はデイリリー。

 日本原産のキスゲなどが欧米で改良されたヘメロカリスは丈夫な花。花色が豊富で、葉は線状に四方に伸び、品種により少し幅広いものから細いものまである。「ヘメロカリス」も「ゼンテイカ(禅庭花)」も馴染が薄いが、「ニッコウキスゲ」や「ノカンゾウ」の名前なら大抵の人は知っている。ゼンテイカニッコウキスゲの別名。日光の霧降高原、尾瀬ヶ原霧ヶ峰などの大群落が有名である。だが、日光地方の固有種という訳ではなく、ゼンテイカは日本各地に普通に分布している。

 過去に分類の紆余曲折があり、和名・学名ともに混乱が見られ、多くの名前がある。ヘメロカリスの開花盛期は主に6月から7月だが、5月から咲く早生品種から8、9月に咲く晩生品種まである。園芸品種は2万以上あるといわれ、花色、花形、草姿など様々である。画像はノカンゾウに近いヘメロカリスと思われる。

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