キキョウの花

 キキョウ(桔梗)は6月から開花する夏の花で、「秋の七草」。漢名の「桔梗」を音読みしたら「ききょう」で、花の色は紫、青または白。その清楚な姿や色から武士に好まれ、江戸城には「桔梗の間」や「桔梗門」がある。『万葉集』の「あさがお」は桔梗のこと。

 キキョウといえば、星形に開く一重咲き。しかし、二重咲き、多重咲きの園芸品種も登場している。キキョウといえば、白と紫の二色が定番だが、桃系のキキョウも登場、さらに、濃い紫や藤色、青色などもある。一方、野生のキキョウは絶滅危惧種だが、園芸では品種改良が重ねられ、5月下旬から咲く「五月雨桔梗」が売り出されたのは、もう何十年も前のこと。五月雨桔梗が普及して、キキョウの咲く時期が早くなると、今度は秋に咲く、遅咲きの「晩生桔梗」が生まれた。

 こうして、キキョウは晩春から初秋にかけて楽しめる花になったとはいえ、秋の季語のまま。そのためか、つい思い出すのは久保田万太郎の句。

 盆来る桔梗ゆめみるごとく咲き

 新盆や桔梗に百合にかよふゆめ