キキョウの花

 キョウから9月だが、キキョウは「秋の七草」の一つ。漢名の「桔梗」を音読みしたら「ききょう」で、花の色は紫、青、または白。その清楚な姿や色から武士たちに好まれたようで、家紋として使われ、江戸城には「ききょうの間」や「桔梗門」などがある。また、万葉集に出てくる「あさがお」は、この桔梗のことだと言われている。実際、桔梗咲朝顔(キキョウザキアサガオ)というアサガオまである。

 キキョウといえば、星形に開く一重咲きがまず思い浮かぶ(画像)。しかし、今では八重咲のキキョウが栽培され、画像のように「斑(ふ)入り」のキキョウもある。キキョウといえば、白と紫の二色がこれまでのメインカラーだが、桃系のキキョウまで登場している。また、紫系の花にも微妙なニュアンスの色幅がある。

 キキョウのイメージは清楚、誠実、従順といったものから、多彩、華麗といったものへ変わりつつある。私の子供の頃の桔梗と言えば、素朴な青紫や白のキキョウの花と、祖父母が吸っていた煙管たばこの「ききょう」の図案だった。当時の煙管タバコのもう一つの銘柄が「みのり」で、共に秋に関連した名前だった。