オミナエシ(女郎花)の秋

 オミナエシ秋の七草の一つとして、日本では古くから親しまれています。山上憶良は「萩(ハギ)の花 尾花(オバナ) 葛(クズ)花 撫子(ナデシコ)の花 女郎花(オミナエシ)また藤袴(フジバカマ) 朝貌(アサガオ)の花」(「尾花」はススキ、「朝貌」は現在のアサガオではなくて、キキョウを指す)と数え上げました。9月に入り、オミナエシの黄色の花が目立ちます。ヒマワリの黄色とオミナエシの黄色が違う色である筈はないのですが、多くの日本人はヒマワリには夏を、オミナエシには秋を感じるようです。

 『万葉集』で色々な漢字をあてられていたオミナエシ平安時代から「女郎花」に統一されました。女郎はもともと大伴家持と交渉があった笠女郎(いらつめ),紀女郎、中臣女郎のように、由緒ある家柄、身分の高い女性の尊称とされていました。

 紫式部は『源氏物語』の中で「花といへば 名こそあだなれ 女郎花 なべての露に 乱れやはする」と詠み、「女郎花の花は名前のせいで誤解されがちだが、誰にでもなびくわけではない」という意味ですから、女郎花のイメージが変わったことを示しています。