キバラヘリカメムシとの再会

 今年もあちこちでよく見たキマダラカメムシとは違って、この2年程キバラヘリカメムシを見ていなかった。それまではニシキギやマユミにたくさん群れていたのだが、まるで見なくなっていた。たった3匹だったが、キバラヘリカメムシの成虫と幼虫の両方を見ることができ、何だかホッとした気持ちになった。キバラヘリカメムシを見て、色々調べた頃のことが蘇って来て、懐かしさと時の経過を同時に感じている。カメムシに遭遇しながら、印象深かった二つのことを思い出していた。

<キバラヘリカメムシの臭い(匂い)>

 カメムシは臭いということになっている。カメムシは腹面にある臭腺から悪臭を伴う分泌液を出す。この液にはアルデヒド、エステル、酢酸、炭化水素が含まれ、兎に角臭い。敵の攻撃などによって分泌され、捕食者に対する防御と考えられている。群れでいるカメムシの場合、一匹が臭いを発すると、周辺のカメムシが直ぐに逃げ出す。つまり、カメムシの臭いは仲間に危険を知らせる警報フェロモンであり、さらに性フェロモンとしても使われている。

 カメムシはその臭いで嫌われ、それが常識になってしまっている。でも、その常識は偏見に近い一面的なもので、キバラヘリカメムシが驚いたときに臭腺から出す分泌液は青りんごのような香りがする。マユミやニシキギを食性とするキバラヘリカメムシの匂いは青りんごや若草のように清々しい。ともあれ、キバラヘリカメムシの臭いか、匂いかは私たちの主観的な感覚判断に過ぎない。

<キバラヘリカメムシの不完全変態>

 昆虫には、チョウのように卵、幼虫、サナギ、成虫というように、幼虫時代と成虫時代では形態も行動もまるで変わる完全変態するものがある。例えば、イモムシとチョウは完全変態だが、カメムシの仲間は不完全変態で成長する。劇的に変化するサナギ時代がなく、卵から孵化して1齢幼虫になり、5回脱皮を繰り返し、最後に羽化して成虫になるのがカメムシたち。各齢で大きさ、色具合、模様などなどがどんどん変化しながらも、成虫の形態が翅と外部生殖器を除いて幼虫形態とほぼ同じで、幼虫と成虫の間に蛹を経ない。

 背面は暗褐色、腹面は黄色、腹部側面に黄白色と黒色の縞模様があるのがカメムシの成虫。図鑑などでは腹面が黄褐色となっているが、実際には黄色から黄緑色に見える。脚の色も面白く、腿節の根元から2/3ほどまでが白っぽく、残りの1/3と脛節以降は、先まで茶褐色。成虫は体長14~18㎜。1齢から5齢までの幼虫は似ている。

 自然の中の変化は千差万別だが、脱皮と変態という成長変化は連続的な変化ではない。スムーズに変わっていく変化ではなく、不連続の変化。私たちの成長変化にもよく見ると脱皮や変態が見つかる筈である。

キマダラカメムシ

以前の成虫と幼虫