キバラヘリカメムシの幼虫と成虫

 昆虫には、チョウのように卵、幼虫、サナギ、成虫と、幼虫時代と成虫時代では形態も行動もまるで異なる完全変態するものがあります。例えば、イモムシとチョウはまったく形態が異なる完全変態ですが、カメムシの仲間は不完全変態で成長します。劇的に変化するサナギ時代がなく、卵から孵化して1齢幼虫になり、5回脱皮を繰り返し、最後に羽化して成虫になるのがカメムシたちで、既に記したキバラヘリカメムシもその例です。各齢で大きさ、色具合、模様などなどがどんどん変化しながらも、成虫の形態が翅と外部生殖器を除いて幼虫形態とほぼ同じで、しかも、幼虫と成虫の間にサナギを経ません。

 背面は暗褐色、腹面は黄色、腹部側面に黄白色と黒色の縞模様があるのがキバラヘリカメムシの成虫。脚の色も面白く、腿節の根元から2/3ほどまでが白っぽく、残りの1/3と脛節以降は、先まで茶褐色です。成虫は体長14~18㎜。

 1齢から5齢までの幼虫はサイズの違い以外はよく似ています(画像)。5齢幼虫は終齢幼虫とも呼ばれ、それが脱皮すると成虫になります。幼虫たちは画像のように一緒にかたまり過ごします。自然の中の変化は千差万別ですが、脱皮や変態という変化は連続的な成長変化ではなく、不連続の変化の具体例です。

*画像は1齢幼虫、様々な幼虫、5齢幼虫、成虫