冬のキクたち

 桜と菊は多くの人に国花と思われ、春の桜に対して秋を代表するのが菊。鎌倉時代の初めに後鳥羽上皇が菊の花を好み、「菊紋」を皇室の家紋にし、それが菊の好まれる第一歩となり、それ以来、菊は高貴な花と看做され、ベネディクトの『菊と刀』が生まれることになった。

 多くの人の常識に反して、バラは日本に自生していたが、キクは7~8世紀に中国から渡来した。バラの原種のうちの3種類、ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナスは日本原産である。それでも、キクの花は日本で古くから親しまれ、伝統の中で生き続けてきた。それが「和菊」と呼ばれ、今でも西洋が原産地の「洋菊」と共に栽培されている(和菊といっても上記から日本原産ではない)。

 ヒメジョオンやハルジオン、コスモス、ダリア、マーガレット等々、どれもキク科の仲間であり、冬の寒さの中でキク科の広さと深さを改めて知るのである。

*画像はハマカンギク、ジョチュウギク