モチノキは雌雄異株で、雌の木には直径1センチほどの青い実ができ、それが秋に赤色になり、鳥の餌になります。ヒノキバヤドリギの傍のモチノキの実はまだ青いままです。私がこのヤドリギを実際に見たのは初めてでした。「宿主、ヤドリギ、ヤドカリ、家主、店子」等々の表現が頭を過ったのですが、ヤドリギは私には神秘的な謎の具体例の一つ。
ヤドリギは高い木の枝上に固着する常緑小低木で、成長すると葉は又状に分枝し、それぞれの上端に濃緑の細長い皮質の双葉をつけます。早春に淡黄色の小さな花をつけ、花後に球形緑黄色の実を結びます。主に広葉樹のケヤキ、クリ、エノキ、ミズナラ、ブナ、サクラなどに寄生します。
ヤドリギの種類は「オオバ(大葉)ヤドリギ」、「ヒノキバ(檜葉)ヤドリギ」、「西洋ヤドリギ」などで、画像はモチノキについたヒノキバヤドリギです。木々の高い枝に寄生することから、昔は神が降りる場所と信じられていました。そのため、木に寄生するのではなく、「宿る木」と考えられていました。また、北欧の伝説では、西洋ヤドリギが大木を奴隷にして養分を吸収する姿から、天の神々もその力を恐れていると信じられていました。不思議さを秘めた植物だけに、古くから詩歌の対象にもなっています。『万葉集』ではヤドリギは「ほよ」と呼ばれ、大伴家持の歌があります。
「あしひきの 山の木末の ほよ取りて 挿頭しつらくは 千年寿くとそ」
(山の木に生えるヤドリギを取って髪に挿すのは、長寿を願ってのことなのです)
ヤドリギは1年中同じような形態で季節感がはっきりしないのですが、俳句では冬の季語。また、欧米では子孫繁栄を願うためにヤドリギをクリスマスに飾ります。
*ヒノキバヤドリギは寄生植物ですが、宿主から全ての栄養素を貰っているわけではなく、茎や葉には葉緑体があり、自ら光合成ができる半寄生植物です。花は黄色の小花で3裂しています。実は黄緑色~やや黄色味を帯びています。実の中には1個の種子が入っていて、熟すと果皮を破って飛び出し粘着物で周りの枝に付着して後、吸収器を宿主の皮膚にとおして寄生しています。ヒノキバヤドリギの植物体は全体が偏平な緑色で関節が多く、ヒノキを連想させます。
*植物の寄生は一種の接ぎ木のようなものですが、種類の違う植物間では拒絶反応のため接ぎ木できないのに、寄生の場合どうして拒絶反応が起こらないのかとか、ヤドリギが寄生した部分が異常にふくらんでいますが、ここでどんな形態的、生理的変化が起こっているのかとか、そして、宿主がいないと生きていけないという窮屈な生き方にどんな生存戦略上の利点があったのかとか…、植物の寄生には多くの面白い問題が山積しています。

