サンシュユの世界

 サンシュユが花盛りで、遠目には木全体が黄色に染まっているように見える。その姿はミモザの花に似たようでありながら、近づくと幹や枝と黄色の小さな花の配置の案配がすこぶる和風で、集合した花だけがもっぱら目立つミモザとは随分と違っている。サンシュユは花、枝、幹からなる独自の風景を有していて、何とも趣がある。今なら、「盆栽の精神」に通じると外国の愛好家に言われそうである。大袈裟に「凝縮された自然」とでも表現すればいいのかも知れない。

 サクラもウメも花、枝、幹が三拍子揃った美を私たちは楽しんできたのだが、サンシュユもそれと同じである。園芸の主な対象は花だが、花だけでなく、植物全体の姿も対象となる。その典型例がサンシュユやサクラで、少なくても私はミモザの黄色とは違う黄色をサンシュユで楽しんでいる。

 ミモザサンシュユとを別々の見方、感じ方で楽しめるとは何とも贅沢な春である。

ミモザ