よく似た色合いの理由

 ヒマラヤユキノシタは早春にピンクの花を咲かせるユキノシタ科の多年草で、常緑性で冬でも緑色の葉姿を楽しむことができる。原産地は東アジア〜中央アジア。「ヒマラヤユキノシタ」という名前は、学名のベルゲニア・ストラケイ(Bergenia stracheyi)に和名としてつけた名前が一般化したもの。現在は交配種も含めてベルゲニア属全体がヒマラヤユキノシタと呼ばれている。明治時代に日本に渡来し、花は5~6枚の花弁を持ち、雄しべは10~12個、雌しべは1個で柱頭が2~3裂する(画像)。

 キンポウゲ科クリスマスローズは毎年花を咲かせる多年草の植物で、寒さに強く、育てやすい。別名は「雪起こし」。「クリスマスローズ」は、クリスマスの時期に咲くバラ(ローズ)に似た花、ということからの命名。多くは2月の節分頃から3月頃に開花する。別名はヘレボルス(Helleborus)で、花に見える部分は花ではなく、萼片で、そのため鑑賞期間が長い。

 二つの植物に特別の関係はないのだが、その花はよく似た色合いで、それは「偶然の一致」に過ぎないのだが、見比べて楽しむだけでなく、何らかの関係があるのではないかと好奇心が疼き出す。だが、二つの間には何の関係も見つからない。考えてみれば、白いバラ、白いツバキ、白いキクの間に特別の関係がある訳でないことは自明のことであり、ヒマラヤユキノシタクリスマスローズの花に色合いの似たものがあるのもそれと同じで、何の不思議もないのである。