ビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花)

 ゴマノハグサ科のビロードモウズイカVerbascum thapsus)の別名は「ニワタバコ」。「ビロードモウズイカ」は全体が毛に覆われ、手触りがビロード(表面を毛ば立たせた布地=天鵞絨)のようで、花の中心にある雄蕊に毛がびっしり生えている様子から(毛蕊花)命名された。「ニワタバコ」の方は、北米の原住民が葉をタバコのように吸引し、喘息や咳の治療に使ったことから。植物の姿からの記述的な命名と植物の用途からの命名で、名前からしていわくありげな雰囲気が漂っています。

 ヨーロッパおよび北アフリカとアジアが原産で、アメリカ、オーストラリア、そして、日本にも帰化しました。日本には明治初めに観賞用に渡来。北海道に多く、夏に長野県でもよく目にします。茎は直立し、全体にビロード状の白色の綿毛でおおわれています。葉は互生し、茎葉は無柄、長さ5~30㎝、茎頂に長さ20~30㎝の総状花序をつけ、黄色の花をつけます。雄蕊は5本のうち、3本は短く、その花糸には長く白い毛が密にはえます。果実は球形の蒴果で、灰白色の毛に覆われます。

 外来種の植物は在来の草を駆逐し、生態系を乱すと言われますが、大きく成長するビロードモウズイカはその代表的な類いと見られそうですが、それほど害はなく、道ばたから深くは侵入できないようです。実際、私自身ビロードモウズイカの群落を見たことがありません。どの個体も孤独を好むようで、群れをなすことはなさそうです。