ワルナスビ(悪茄子)の花

 ママコノシリヌグイ(山野などに生え、ピンク色の米粒のような花をつける。茎に棘があり、この棘で継子(ままこ)の尻をふいた、という意味で名づけられた幼児虐待のような名前)と同じように棘をもつのがワルナスビで、こちらの棘も痛く、敬遠したくなる。平地の道端や空き地に生える北米原産のナス科の帰化植物で、白色か淡紫色の花弁に黄色い雄蕊が目立つ花をつける(画像)。湾岸地域では意外に多く、歩道の端でも見つかる。

 ナス(茄子)のヘタにも棘があり、子供の頃は何度も痛い目をしたが、その比ではないのがワルナスビの棘。ワルナスビの実にはソラニンという毒が含まれ、さらに全草に毒を持っている。

 ワルナスビが日本で初めて発見されたのは、今から100年ほど前で、牧野富太郎が千葉県成田市の御用牧場で発見したのが一番古い記録とされている。「悪茄子」はその牧野が命名した(『植物一日一題』(ちくま学芸文庫、2008))。若者に聞けば、ワルは小悪で、アクは大悪とでも答えるのだろうが、アクナスビでなく、ワルナスビだったのはどのような意図があったのだろうか。