徘徊と彷徨:寄り道

 ガーベラは明るく健康的な雰囲気をもつ花。花茎が長く伸びて咲くのがガーベラの特徴。幾つもの原種との交配により、多数の園芸品種が生まれています。多彩な花色と、一重、八重、その他の花形のバリエーションが多数あり、画像はシンプルな一重の個体です。

 株全体には、うぶ毛のような細かい綿毛が密生して、ソフトな感じがあります。また、花の中心の部分は淡い黄緑色から黒っぽいものまで様々あり、花弁との対比がアクセントになっています。

 キク科のガーベラの和名はその花姿から「ハナグルマ(花車)」、「アフリカセンボンヤリ(千本槍)」、「オオセンボンヤリ」。学名はGerbera jamesoniiで、南アフリカに自生する燈赤色の小さなキクがガーベラの起源。以後、交雑が重ねられ、ヨーロッパで多彩な品種がつくられました。日本への渡来は大正初期。

 ガーベラを見て、薔薇より菊に似ているとふと感じたのですが、それが本当かどうか気になり出しました。薔薇と菊という対比は私のような世代には珍しいことではなく、つい大上段に振りかぶり、西洋と東洋の美的センスの違いの象徴だなどと捉えてしまいます。そのハイカラな名前からすれば、ガーベラは薔薇族と思いがちですが、南アフリカ原産のキク科の多年草をもとに品種改良された園芸植物。和名のオオセンボンヤリは日本産の同属植物センボンヤリの大型種というところからつきました。

 キク科の植物でまだ咲いているのがコスモス。「秋桜」、「大春車菊(オオハルシャギク)」がその別名。さらに、大型のダリアも、ずっと小型のタンポポもどれも同じキク科。でも、バラ科にはサクラ、ハマナス、そしてリンゴやイチゴ等が属し、私たちの生活世界では決してキク科の一方的な勝ちにはなっていません。実際、初冬の今はバラも咲いています。とはいえ、キク科の方がバラ科よりもずっと種が多いことも(生物学的な)事実です。キク科はバラ科よりずっと細かく分化していて、多様な被子植物の中でも代表格になっています。

 偶然見つけたのが工藤玲音の和歌「ガーベラもダリアも花と呼ぶきみがコスモスだけはコスモスと呼ぶ」(『水中で口笛』所収、左右社、2021)。私の「徘徊と彷徨」のコスモス、ダリア、そしてガーベラがすべて’(不平等に)詠み込まれています。すぐに浮かんだのが「ガーベラもダリアも花と言う(書く)きみがコスモスだけはコスモスと言う(書く)」で、何が違うのか、考え込んでしまいます。さらに、「ガーベラもダリアも花と呼ぶ(書く)きみがコスモスだけは秋桜と呼ぶ(書く)」となると、私の頭は動転し始めるのです。