舌状花の有無:イソギクとハナイソギクの違い

 キク科のイソギク(磯菊)は磯の菊ということから「磯菊」の名がある。日本固有の野生の菊で、湾岸地域にはあちこちに植えられ、今花をつけている。イソギクの栽培は江戸時代から始まっていて、現在では野生化が進み、あちこちで見ることができる。

 イソギクの花期は10月~12月上旬。花期になると、伸びた茎の頂部に、花径1.5㎝程度の頭花を散房状に多数咲かせる。イソギクの花は地味だが、花の少なくなる時期に咲くため、鮮やかな黄色が魅力になっている。

 キク科の頭花は通常黄色の管状花と、白や黄色の小さな舌状花からなるが、黄色だけの花をつけるのがイソギク。白い舌状花もついているのがハナイソギクで、それまでどれもイソギクと断じて見ていた私の知覚風景は一変し、イソギクの中にはイソギクとハナイソギクがあることになった。イソギクは花びらを持つ花(舌状花)が全く無く、管状の花ばかりが集まっている(画像)。そのため、ハナイソギクイソギクとイエギク(家菊)との間の交雑種だと考えられている。

 だが、『牧野原色植物図鑑』では、海岸に適応するために舌状花を失ったイソギクの先祖返りかも知れないと指摘されている。

*画像は舌状花のないイソギクと、舌状花をもつハナイソギク

イソギク

イソギク

(ハナイソギク

(ハナイソギク