クサギ

 クサギ(臭木)はビックリ仰天の名前だが、日当たりのよい野原によく見られるシソ科の落葉小高木。葉に異臭があることからこの名がついた。錠剤のビタミンB剤の匂いに似ている。葉は大きく、長い葉柄を含めて30cmにもなり、柔らかくて薄く、柔らかな毛を密生する。木や葉の薬品臭から臭木の名がついたが、甘い香りがする花は夏に咲き始め、花びらは萼から長く突き出してその先で開く。雄しべ、雌しべはその中からさらに突き出す。花弁は白、がくははじめ緑色でしだいに赤くなり、甘い香りがある。実は瑠璃色の液果で秋に熟し、赤いがくが開いて残るため、よく目立つ(画像)。鳥の好物らしく、鳥がよく来る木の実はすぐなくなってしまう。
 クサギは山菜の一つで、若葉が食用になる。乾燥して保存もでき、生だと野菜と同じように新芽や若葉を青菜として利用し、佃煮にもなる。食べてみたいと思っているが、まだその機会はない。また、クサギは特別な病害虫がいないことでも知られ、砂防地の安定化のための緑化樹木としても用いられる。それで湾岸地域にあるのかも知れない。
 クサギは新芽の時期を逸しても薬用に利用できる。ただれ、皮膚病に葉の汁を塗布したり、煎汁を家畜のしらみ駆除に使う。また、民間療法で利尿・健胃に根皮を煎じ服用していた。さらに、クサギの瑠璃色の実は古くから「常山の実」と言われ、実をあつめて青色の染色材料にしてきた。
 「クサギ」という名前とは裏腹に、人にこの上なく好都合の植物であることがわかる。

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