2023-01-01から1年間の記事一覧

ベゴニアの白い花

ベゴニアはシュウカイドウ属に属する植物の総称ですが、既にバラの花に似ていることを記しました。夏の夜温が下がる頃から、霜が降りるまで長く楽しめる植物が「フォーチュン ベゴニア」(画像)で、人気が高いようです。 ベゴニアは雌雄異花。雌花は子房を…

進化の人為的、社会的側面(Biosociology)(2)

進化論は自然の中の生物進化を研究することから人為進化によって自然を利用することに次第にシフトしてきた。その結果、医療や食糧に関して大きな役割を果たすようになってきた。社会性の進化は進化生物学の課題の一つで、多くの人が関心を持ってきた。アリ…

進化の人為的、社会的側面(Biosociology)(1)

自然進化(natural selection)と人為進化(artificial selection)はダーウィン以来の伝統的な区別ですが、今では人為進化の役割や比重は急速に増加し、自然進化をその能力で凌駕してしまっています。自然が起こす生物進化より人が起こす人為進化が圧倒的に…

ダイダイの実

ダイダイはインド、ヒマラヤが原産。日本へは中国から渡来。また、ヨーロッパへも伝わり、ビターオレンジとして栽培されている。日本では正月飾りに用いられる。高さ4-5mになる常緑小高木で、枝には棘がある。 初夏に白い花をつけ、冬に果実が黄熟する。果実…

ナリヒラヒイラギナンテンの花

ヒイラギナンテン(柊南天)はヒイラギ(柊、モクセイ科)とナンテン(南天、メギ科)との交雑種ではない。クリスマスが近づくと、セイヨウヒイラギの需要が増える。セイヨウヒイラギはキリストの足元から初めて生えた植物で、赤い実はキリストの血と苦悩を…

永代橋と清洲橋、そして勝鬨橋

国は関東大震災からの帝都復興に力を入れます。内務大臣だった後藤新平は強いリーダーシップを発揮し、帝都復興院の中心に若い専門家たちを抜擢しました。帝都復興のための橋梁設計の特徴はその多様性にあり、隅田川六大橋(相生橋、永代橋、清洲橋、蔵前橋…

ネズミモチの黒い実

湾岸地域ではあちこちに見られるクロガネモチは葉柄と新しい枝が紫黒色を帯び、葉が乾くと黒い鉄のような色になるモチノキ(黐木)ということから「クロガネモチ(黒鉄黐)」と呼ばれています。でも、その実は赤く、今その赤い実をあちこちで見ることができ…

シュウメイギクの美しさ

シュウメイギク(秋明菊)はキンポウゲ科の多年草で、湾岸地域でも公園などでよく見かけます。日本で自生しているものは中国原産のようですが、地下茎でよく増えるので、群生している姿も見かけます。シュウメイギクは華奢な葉茎の先に白やピンクの可憐な花…

紅葉に興奮するのはなぜか:紅葉の効用

「紅葉狩り」は秋の野山を散策しながら、赤や黄に染まった木々を見て楽しむことです。茸を採ることを「きのこ狩り」、海岸で貝を掘ることを「潮干狩り」といいますが、「紅葉狩り」も似た表現です。そして、古くからある紅葉伝説は戸隠、鬼無里、別所温泉な…

晩秋のタケニグサの花

タケニグサ(竹似草、あるいは竹煮草)はケシ科の多年草で、湾岸地域でもあちこちに繁茂しています。とはいえ、空き地が次第に減り、次第にその個体数は減っています。「タケニグサ」の名は茎が中空で竹に似ているから「竹似草」、あるいは、竹と一緒に煮る…

ススキと枯れススキ

ススキ(芒、薄)は尾花(おばな)、茅(かや、萱)とも言われ、秋の七草の一つ。また、「枯れ尾花、枯れすすき」もほぼ同義のように使われています。秋艸道人会津八一の句に「嫁とりし狐が顔や枯尾花」がありますが、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という句…

A君と先祖との血縁関係

石田三成の子孫について、A君は次のようにメモした。「関ヶ原合戦に敗れた石田三成の嫡子重家は徳川家康に助けられ、出家し、次男重成は津軽信建に匿われ、子孫の杉山氏は津軽藩士として存続した。また、三成の娘辰姫は秀吉没後に高台院の養女となり、弘前藩…

イガオナモミの「ひっつき虫」

キク科のイガオナモミ(毬葈耳)はアメリカ大陸原産で、戦後に日本に帰化しました。茎は良く分枝し、短い棘が有ります。雌雄同株、雌雄異花の両性花で、葉腋から出る花序の上部に数花の雄花を、下部に雌花をつけます。花の後にできる果実(果苞)が熟すと、…

マユミの赤い種子

ニシキギ科のマユミ(檀、真弓、檀弓)の別名はヤマニシキギ(山錦木)。マユミは山地に自生するニシキギ科の落葉樹。近くの植え込みのマユミが薄赤い実をたくさんつけ、それが裂けて、暗い赤色の種子が顔を出している(画像)。ニシキギやマサキのように四…

ジョロウグモの産卵

ジョロウグモのメスは産卵のために卵嚢(らんのう)をつくります。産卵し終えても、そこから離れることはありません。自分の脚をしっかりと糸に絡ませ、卵を守り続けます。卵を産み終えたメスは、膨らんでいた腹が萎み、すっかりその姿が変わっています。や…

トベラの赤い種子

トベラは雌雄異株で、その花期は4 - 6月。私が二つの株を見比べる限り、実のつかない雄株の方が葉の色が濃く、雌株の葉の緑色は薄い。湾岸地域にはトベラが多く、そのトベラが今の季節になると、驚くような姿を見せる。その姿を見ていると、リンネの分類学の…

ジョロウグモの優れた能力

黄色と黒のストライプ状のクモのクモ糸は細くて色まではわかりにくいのですが、仄かに金色が浮かび上がってきます。秋口から初冬に目立つジョロウグモは特に強い金色の糸を紡ぎ、英語ではGolden Orb Weaver (金色の円網を紡ぐもの)と呼ばれています。金色の…

紅葉の風景:一者多様

見事に枝を伸ばしたアメリカフウ(モミジバフウ、紅葉葉楓)の様々な紅葉が広い公園の中で空まで伸び上がっている。晩秋の青空の中で多彩な色が競い合い、キャンバスに塗り込まれたようにせめぎ合っている。北米原産のアメリカフウは日本には大正時代に渡来…

紅葉の風景:三者三様

足元の紅葉から頭上の紅葉までをほぼ同時に味わえる機会など滅多にあるものではないが、何の偶然か、三つの植物が隣り合わせにあったことで私は望外の紅葉景色を味わうことができた。 背の低いドウダンツツジの生垣が真っ赤に紅葉している。湾岸地域には様々…

ハキダメギクの花

キク科のハキダメギクは北アメリカ原産。大正時代に東京で見つかり、現在では関東地方以西に広がっています。茎は2分岐を繰り返し、高さ15〜60cmになります。葉は対生し、卵形〜卵状被針形で、波状の浅い鋸歯があります(画像)。頭花は直径5mm程で、まわり…

クスノキの黒い実

クスノキ科のクスノキ(樟、楠)は常緑樹で、花の後にできる緑色の実は11月には黒紫色に熟します(画像)。中には種が一粒入っていて、ムクドリやカラスなどの餌となります。樟脳のような香りがあって人には美味しくありませんが、小鳥たちの好物で、種が遠…

初冬のビワの花

バラ科のビワで誰もが想像するのは果物で、その食べ頃は初夏。晩秋に花をつけ始めるビワはへそ曲がりで、天邪鬼。だが、サザンカやツバキ、そしてボケも同じ頃に花をつけ始めるので、少数派だが、異端児という程ではない。「ビワ」の語源は葉や実の形が楽器…

イソギクとハナイソギクの花

イソギク(磯菊)はキク科キク属の植物で、既に何度も記してきました。誰も注目しないのですが、よく見ると、二つの画像が違うことに気づくはずです。実際、全体の印象も異なります。画像の違いは何なのでしょうか。 磯の菊ということからイソギク(磯菊)の…

「なぜ、どうして」への私とは違うA君の解答

西條八十は童謡や御伽噺の古今東西の常套手段を巧みに用いて、大人が考える子供世界を十分に描写しながら、彼独自の童謡世界をつくり出している。ただ、その世界は極めて優等生的な世界で、模範的な少年少女の世界になっていて、それは閉口だと言うのがA君の…

ハマヒサカキの雌雄の花

ハマヒサカキは湾岸地域でも公園の生垣としてよく見るのですが、花が咲く今の時期は独特の悪臭を放っています。雌雄異株で、当然ながら雄株には雄花が咲き、雌株には雌花と実がついています。花は下向きに開き、雄花の方が大きいサイズです(画像)。花弁は5…

ハマナスの実

北海道に多いハマナスはバラ科の植物で、プチトマトによく似た実はローズヒップと呼ばれ、ビタミンCを豊富に含んでいます。ビタミンCがなんとレモンの60倍もあり、ハーブティー、ジャム、スキンケアオイルの材料として用いられます。利尿作用、発汗作用、血…

ダリアの花

ダリアはキク科ダリア属の総称で、和名は花の形がボタンに似ていることからテンジクボタン(天竺牡丹)。メキシコが原産で、その後1842年にオランダから日本に渡来し、昭和期には家庭の庭先を飾る夏の花として普及しました。メキシコ国花のダリアは耐寒性多…

「なぜ、どうして」と問われ続けたら、子供たちにどう答えたらいいのか?

昔から童謡の歌詞には意味が明瞭でなかったり、謎めいていたりして、それが逆に童謡がもつ特異な世界を醸成してきました。とても古く、意図が明瞭な例が「いろは歌」です。 「いろは歌」 いろはにほへと ちりぬるを(色は匂へど散りぬるを) わかよたれそ つ…

イヌツゲの黒い実

モチノキ科のイヌツゲ(犬黄楊)は見た目だけでなく、名前もツゲとよく似ているため、同じ仲間と思われがちですが、ツゲはツゲ科で類縁関係はありません。ツゲはたいへん成長が遅く、緻密でなめらかなため、ツゲ材として櫛や印鑑の材料となるのに対し、成長…

バラとキク

キクは7~8世紀に中国から渡来しましたが、バラは日本に自生していました。バラの先祖を辿っていくと、アジアから日本にかけての自生種8種類に行きつきます。バラの原種のうちの3種類、ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナスは日本原産です。 キクの花には日本…