ネズミモチの黒い実

 湾岸地域ではあちこちに見られるクロガネモチは葉柄と新しい枝が紫黒色を帯び、葉が乾くと黒い鉄のような色になるモチノキ(黐木)ということから「クロガネモチ(黒鉄黐)」と呼ばれています。でも、その実は赤く、今その赤い実をあちこちで見ることができます。一方、ネズミモチはモクセイ科イボタノキ属で、葉がモチノキに似ていて、実がネズミの黒い糞に似ていることから命名されました。こちらも今実が緑から黒に変わりつつあります。ネズミモチは常緑小高木で、よく分枝し、高さ5mほどになります。実は核果で、長さ8〜10mm、直径5〜7mmの楕円形。10〜12月に緑色の実は紫黒色に熟します(画像)。

 「ネズミモチ」の名前の由来となったネズミの糞を私は随分長い間見ていません。ネズミは時々見ても、その糞は何十年も見ていません。子供の頃は毎日のようにネズミとその糞を見ていて、すっかり見慣れたものの一つだったのですが…確かに紫黒色のネズミモチの実は、色、形がネズミの糞によく似ています。サイズはネズミの糞の方が小振りです。今はその実を見る度にごく自然に子供の頃のネズミの糞が目に浮かんできます。