赤と黒

 スタンダールの『赤と黒Le Rouge et le Noir)』は実際に起きた事件に基づいているが、「赤と黒」というタイトルは主人公ジュリアンが出世の手段にしようとした軍人(赤)と聖職者(黒)の服の色を、あるいはルーレットの回転盤の色を表し、ジュリアンの人生をギャンブルに喩えているとも言われるが、スタンダール自身はその由来を明らかにしていない。「赤と黒」が何を意味しているかは様々で、「アオキの実とネズミモチの実」でも、「クロガネモチの実とネズミモチの実」でも「赤と黒」である。

 さて、アオキは関東以西の山地や林内に広く分布するミズキ科アオキ属の常緑低木。日陰に強い庭木として知られ、家の北側などに使われてきた。東南アジアの各地に見られるが、特に日本に多い。春に直径1センチ程度の花が円錐状に集まって枝先に咲く。花には雌雄があり、雌雄異株。そのため、雄木には実がならない(画像は雌株)。アオキの実は直径2センチ程と大きい。

 一方、ネズミモチはモクセイ科の常緑広葉樹。秋になる実がネズミの糞に似ていること、葉がモチノキに似ていることからネズミモチ命名された。都市部の劣悪な環境でも耐えることから、垣根や緑地の「植えつぶし」として使われる。実際、湾岸地域でもネズミモチはそのような使われ方をしている。実は長さ7ミリ程の楕円形で、熟した実は日干しして漢方薬に使われる。

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