2023-01-01から1年間の記事一覧

アオキの赤い実

雪の中のアオキの赤くなった実は子供の頃の記憶として今でも鮮明に覚えています。アオキの赤が鮮烈なのは、私が思うにアオキの若い実だけでなく、葉も茎も緑であるからです。冬になり、雪が降ると、アオキの赤い実は強烈に自己主張をしてきます。雪中の赤い…

黄葉の理由;どうでもいいのだが…

植物の葉が緑に見えるのはクロロフィルのため。植物の葉は二酸化炭素と水、光を使ってエネルギーと酸素を作っています。これが光合成で、このとき、光を効率良く吸収するために働くのがクロロフィル(葉緑素)という色素。クロロフィルは植物細胞の中にある…

瞬間や境界があるなら、どこにどのようにあるのだろうか

私たちは言葉や数を生み出し、瞬間や境界をつくり、それらを使って、環境とその中の事物を感じ、考え、描き、表現してきました。でも、点や線の幾何学を学べば、世界には瞬間も境界も実在しない、いずれも私たちが創り出したものに過ぎないことに気づくこと…

冬のアブたち

花が少ない冬には、昆虫たちは希少な花に集まってきます。ハエの仲間のアブも同様で、ヤツデの花の常連でもあります。ヤツデにやってきたのは常連のホソヒラタアブです。名前の通り、細身の身体でホバリングしながら花に近づいてきます。 アネモネの花にやっ…

ハッサクの色づいた実

12月に入り、柑橘類が色づいている。ハッサクもみかんの色になってきた。八朔(はっさく)は八月朔日の略で、旧暦の8月1日のこと。新暦では8月25日頃から9月23日頃までである。江戸時代には正月に次ぐ特別な祝日だった。稲穂が実り始める時期で、各地で「豊…

晩秋のジョロウグモ:再訪

ジョロウグモは秋を代表するクモ。体長が雌雄で大きく違い、雌が35ミリ程あるのに対し、雄は7~8ミリほどしかなく、ジョロウグモは雌優位のクモです。雌の腹部には青色と黄色の幅広い横縞があります。ジョロウグモの網は金色で、網をつくるクモの中では最も…

シクラメンの花

サクラソウ科シクラメン属のシクラメンは地中海地方が原産で、多年草の球根植物。カガリビバナ(篝火花、牧野富太郎が命名)とか、ブタノマンジュウ(豚の饅頭、大久保三郎が命名)と呼ばれたが、随分と今の印象とは異なる。シクラメンは明治時代に伝わり、…

ソヨゴの赤い実

ソヨゴ(戦、冬青)はモチノキ科モチノキ属の常緑小高木で、別名はフクラシバ。波状の葉がそよそよと風に揺れることから命名された。常緑樹の中では葉色が明るく、株立ちの樹形に人気がある。6月頃に目立たない白い小さな花をつける。 ソヨゴは雌雄異株で、…

Hierba buena

競走馬にもHierba Buenaがいますが、ここでのタイトルは学名がMentha nemorosa、モヒートミント、キューバミントとも呼ばれるミントのことです。Hierba buenaは芳香をもつ薬草植物のスペイン語の一般名で、シソ科の植物が多いようです。イェルバ ブエナは文…

ネリネの赤い花

ネリネはヒガンバナによく似た、秋咲きの球根植物です。花びらに光沢があり、キラキラと光るので、英語名のダイヤモンドリリーという名前でも親しまれています。開花期間も長く、冬の花が少ない時期に庭に彩りを与えてくれます。 ネリネの花は、小さなユリの…

君はなぜ名前を知りたがるのか

君は哲学などに興味を持っているためか、妙に名前を知りたがる。まるで、辞書の編纂者か博物学徒のようにもみえるが、どうも君の知り方は彼らとは微妙に違っている。 名前を知ることは確かにビジネスには不可欠だし、日常生活で自分の周りの人たちの名前を憶…

ツワブキの黄色い花

湾岸地域ではツワブキ(石蕗、艶蕗、Farfugium japonicum)の花が今あちこちで咲いている。晩秋から初冬にかけて咲く黄色い花は風景に彩を添え、人気があるようだ。ツワブキはキク科ツワブキ属に属する常緑多年草で、茎や根に薬効がある。 また、ツワブキの…

深川と怪談:余談

日本の三大祟り神となれば、菅原道真、平将門、崇徳上皇の三名。菅原道真は「天満宮(天神様)」、平将門は「御霊神社」、崇徳上皇は「白峯神社」の祭神として祀られ、永く人々の信仰を集めてきました。最高の地位に君臨した貴人が、理不尽な目に遭い、大き…

深川と怪談(3)

(5)『怪談牡丹燈篭』 『怪談阿三の森』をより洗練させ、完成させたのが『怪談牡丹燈篭』。『阿三の森』は円朝作ではないと言われるが、その完成形である『牡丹燈篭』は紛れもなく円朝の作品。円朝はお露と新三郎の悲話に加え、お露の父飯島平左衛門とお国…

ナツメヤシの実

ナツメヤシ(棗椰子、Phoenix dactylifera)はヤシ科に属する常緑高木。ナツメヤシの果実はデーツと呼ばれ、北アフリカや中東では主要な食品で、広く栽培されています。 ナツメヤシの幹は真立し、樹高は15~25mになります。雌雄異株で、雌花は緑色、雄花は白…

ハナシュクシャの白い花

ハナシュクシャ(花縮紗)はショウガ科ハナシュクシャ属、英語名がGinger lilyなので、ジンジャー、ジンジャー・リリー、ホワイトジンジャーなどとも呼ばれている。ハナシュクシャはインド原産で、日本には江戸時代に渡来。ハナシュクシャはキューバやニカラ…

私たちの「生き様」と「死に際」

「生き様」には生きている人の相当に長い時間の経過、つまりその人の生活が前提されていますが、「死に際」には死ぬ人の極めて短い時間だけで十分です。生きることは相当に長い時間を通じての生活が不可欠ですが、死ぬことは瞬時に起こる場合が多いというの…

ポンカンの実

昨日記したグレープフルーツの横にあるのがポンカン(椪柑、凸柑)で、やはり実が色づいています。ポンカンはミカン科ミカン属の柑橘類で、インド北部が原産地。日本には1896(明治29)年に台湾総督が苗木を鹿児島に送り、移植しました。ポンカンは甘みが強…

ニチニチソウと世界

初夏から晩秋まで次々に花をつけるのが「日日草」ですが、12月に入り、流石に花はめっきり減りました。「ニチニチソウ」と聞くと、私がいつも頭に浮かべるのは「日日是好日(にちにちこれこうにち、にちにちこれこうじつ)」という禅語です。この禅語は『碧…

グレープフルーツ

私の子供の頃の冬の果物はもっぱらオンシュウミカンだったと述べましたが、大学生の頃に急に登場したのがグレープフルーツ。日本でグレープフルーツが普及するようになったのは、1971年のグレープフルーツ輸入自由化以降のことで、ほぼミカンしか知らなかっ…

キシュウミカン

冬が来ると、炬燵に入って蜜柑を食べるというのが私の子供の頃の定番の楽しみでした。でも、どんな蜜柑を食べたかとなると、途端に記憶は定かでなくなるのですが、私は戦後生まれですから、温州みかんだったと推測できます。 その温州みかんは日本生まれとい…

深川と怪談(2)

(3)善悪、白黒、美醜で知る人間と社会 まだ学生の頃、教育学専攻の友人に分厚い翻訳書を見せられ、人の体型のモノクロ写真にびっくりし、それが目に焼き付き、博物学的な臭いを感じたのを憶えている。それはクレッチマーの研究書で、体格と気質の相関関係…

ヤツデの花の策略

ヤツデの葉の次は花です。ヤツデの花も不思議で、花粉を運ぶ昆虫が少ない12月に花をつけます。この時期のハエやアブを独占するのがヤツデの戦略だと考えれば、冬という開花時期の謎は解けそうです。 もっと不思議なのはヤツデの花の変化。ヤツデは雌雄同株で…

深川と怪談(1)

怪談はイギリス人がすこぶる好きだと聞くが、江戸の人たちも怪談好きが多く、結構な人気を博していた。小泉八雲の『怪談』よりもっとずっと派手で、しかも人間的なのが江戸の歌舞伎や落語の怪談物。そんな怪談に縁もゆかりもあるのが深川牡丹にある神社で、…

ナワシログミの花

グミの仲間は世界に60種ほど、日本には約15種が自生。園芸植物として栽培されているのが常緑性のナワシログミと、落葉性のナツグミ。ナツグミの変種のトウグミには果実が長さ3cmにもなる「ビックリグミ」がある。湾岸地域にはナツグミの他にアキグミが目立つ…

ヤツデの葉

ヤツデの光沢のある葉には長い柄と深い裂け目があります。葉の直径は20~40cmと大きく、そのため「天狗の団扇(うちわ)」という別名があります。日陰でもより多くの光を取り入れるため、ヤツデの葉は重ならないように配列されています。「八つ手」と言って…

後期高齢者の正義と善

今や私は「古希(稀)」を遥かに越えて、堂々の後期高齢者。唐の詩人杜甫は「酒債は尋常行く処に有り 人生七十古来稀なり」と詠みました。時代は8世紀の唐の時代。日本では奈良時代にあたり、平均寿命は30歳を越えたほどだったと思われます。当時70歳まで生…

アロニアの赤い実

アロニア(Aronia)は北米東部原産のバラ科の落葉低木で、果樹や観賞用樹木として使われる。本州などに自生するカマツカに似ていて、「西洋カマツカ」という和名がある。花はナシに似て白または淡紅色で、春に咲く。実が赤く熟すアロニア・アルブティフォリ…

千両と万両

センリョウはセンリョウ科の常緑低木で、江戸時代までは、「仙寥花(センリョウカ)」と呼ばれていましたが、見た目の似ている万両(マンリョウ)よりも実つきがまばらなので、千両になったと言われています。樹高は50~80cmほどで、縁にギザギザのある濃い…

アベリアの花と萼片

アベリアは19世紀中期にイタリアで生まれた交配種で、中国原産のシナツクバネウツギ(=タイワンツクバネウツギ)と同じ中国原産のアベリアユニフローラからつくられ、和名は「花園衝羽根空木」(はなぞのつくばねうつぎ)。両親の長所であるとても長い開花…