ヤツデの葉

 ヤツデの光沢のある葉には長い柄と深い裂け目があります。葉の直径は20~40cmと大きく、そのため「天狗の団扇(うちわ)」という別名があります。日陰でもより多くの光を取り入れるため、ヤツデの葉は重ならないように配列されています。「八つ手」と言っても、葉の裂け目は7つ、9つが多く、いずれも奇数で、縁起が悪いと考えられたため、縁起を担いでヤツデ(八つ手)となったようです。ヤツデの学名はFatsia japonicaですが、fatsiaは「八手(ハッシュ)」が転訛したものです。

 今湾岸地域ではそこかしこでヤツデの花が咲き出し、ハエたちがその花に群がり、実に賑やかです。暇な老人のまずの関心はヤツデの葉の裂数です。実際の裂数は7~11の奇数に分かれるというのが経験的な記述です。葉脈を見ると,真ん中を通る葉脈を軸にして,左右対称に葉脈が出ていて、そこから奇数裂にしかならないという理屈が出てきます。この理屈が正しいなら、7、9、11(奇数)に裂けるが、偶数に裂けることはないことになります。でも、奇数裂しか見あたらない訳ではありません。画像にあるように8裂の葉も実際に見つかります。

*ヤツデの葉の裂数は上記のような一応の規則があるのですが、より柔軟な裂数をもつ一例がカクレミノです。芽生えたばかりの時は切れ込みのない葉ですが、幼木では深く3~5裂し、ヤツデに似ています。生長するにつれ、切れ込みは浅くなり、全縁の葉と3裂した葉が混ざるようになります。先端につく葉は葉柄が短く、切れ込みが浅く、それより下についている葉の葉柄は長く、上の葉と重ならないようになっています。大きく生長した葉では、全縁で長楕円形の葉ばかりとなります。ヒイラギモチの葉は肩が棘のように鋭く、3つの鋸歯を持つ葉もあれば、なで肩のように滑らかで、先だけ鋭くなる葉もあります。成木になると鋸歯がなくなり、全縁になる葉もあります。また、ヒイラギモクセイの葉縁には先端が棘状となる 6~10対の鋸歯があり、触ると痛いのですが、鋸歯のない葉もあります。画像は最初の3枚がヤツデ、次の二枚がカクレミノ、最後がヒイラギモクセイです。