アオキの赤い実

 雪の中のアオキの赤くなった実は子供の頃の記憶として今でも鮮明に覚えています。アオキの赤が鮮烈なのは、私が思うにアオキの若い実だけでなく、葉も茎も緑であるからです。冬になり、雪が降ると、アオキの赤い実は強烈に自己主張をしてきます。雪中の赤い実は子供の頃に故郷で焼き付けただけなのですが、その後も何度か、東京で白い雪とアオキの赤い実のコントラストを実際に見ることができました。その強烈さはすっかり色褪せていましたが、強烈だったことは思い出すことができました。

 アオキ(青木)はアオキ属の常緑低木。和名の由来は、常緑で枝も青い(緑)ことから。大きな葉の形は通常楕円形で、縁には小さな鋸歯があります。その実は卵形の液果で、種子を1個含み、秋から冬に赤く熟します(画像)。

 アオキは地味ながら、日陰に強く、庭木としての使い勝手が良いため、現在では園芸目的でたくさん植えられています。また、花の少ない初冬に実をつけるため、江戸の昔から盛んに栽培されてきました。実際、湾岸地域でもあちこちに植えられ、すっかりポピュラーになっています。ですから、雪が降れば、アオキは見事な雪景色を演出してくれる筈です。