進化の人為的、社会的側面(Biosociology)(2)

 進化論は自然の中の生物進化を研究することから人為進化によって自然を利用することに次第にシフトしてきた。その結果、医療や食糧に関して大きな役割を果たすようになってきた。社会性の進化は進化生物学の課題の一つで、多くの人が関心を持ってきた。アリやハチについての研究を思い出す人が多いだろう。進化の社会性は、生物進化や文化進化が人間社会の中で起こってきたことを意味している。進化のメカニズムが明らかになるにつれ、その知識を人間社会の中で応用することになるが、そこには進化の社会学とも呼べるような現象が自ずと生まれてくる。サラブレッド、家畜、食料等々、進化の知識を使った活動が進み、園芸もその一つである。

*バラやキクの品種開発は人の社会の一面を見事に示している。バラの進化は人による人為進化そのものである。ハマナス(浜茄子、浜梨)はバラ科バラ属の落葉低木で、自生する野生のバラ(前回の画像)。湾岸地域には意外に多く、あちこちに植えられている。ハマナスの名前が広く知られるようになったのは、1960年に森繁久彌が作詞作曲した「知床旅情」で、私もその歌詞でハマナスの存在を知った。野生のバラは「ノイバラ」(ヨーロッパのバラの原種は「イヌバラ」)で、純白の5枚の花弁、椿のような照り葉、淡い芳香、たくさんの棘などの特徴をもつ原種のバラ。有棘の低木類のバラが茨(いばら)と呼ばれ、野生であることから「野」がついて「ノイバラ」となった(別名がノバラ(野薔薇))。画像は既に報告した中国原産のナニワイバラで、宝永年間に渡来し、大阪の商人がこのノイバラを売り歩いたことから、「難波のバラ」という意味で「ナニワイバラ」と呼ばれるようになった。

ナニワイバラ