ナリヒラヒイラギナンテンの花

 ヒイラギナンテン(柊南天)はヒイラギ(柊、モクセイ科)とナンテン南天、メギ科)との交雑種ではない。クリスマスが近づくと、セイヨウヒイラギの需要が増える。セイヨウヒイラギはキリストの足元から初めて生えた植物で、赤い実はキリストの血と苦悩を表すと言われ、クリスマスの飾り付けに使われてきた。葉がそのセイヨウヒイラギに似ていて,実がナンテンに似ているのがヒイラギナンテン

 最近はオタフクナンテンヒイラギナンテン、さらにはナリヒラヒイラギナンテンといった名前をよく聞く。最近どこにでもあって、食傷気味なのがオタフクナンテン(お多福南天)。ナンテンからつくたれた矮性種で、ナンテンとは外見がまるで異なる。葉が短い楕円形で大きく、常緑樹なのに紅葉し、赤い実どころか、実さえつかない。

 さて、ナリヒラヒイラギナンテンはコンフューサが品種改良され、「ナリヒラ」と名づけられた。ナリヒラという名前は、葉が細くてすらっと見栄えが良いため、美男子の代名詞である在原業平に喩えられたようである。同じような葉を持ち、花期も同じものがホソバヒイラギナンテン(細葉柊南天)。二つの違いは小葉の長さと小葉の対となる数。私には区別がつきにくく、その上、ナリヒラヒイラギナンテンはヤナギバヒイラギナンテンとも呼ばれ、混沌としている。

 ところで、最後の画像のマホニア・チャリティは中国原産のヒイラギナンテンとマホア・ロマリフォリアとの種間交雑種。マホニア・チャリティは12月から2月に咲き、樹形も大きめで、葉はやや細長くて大きく柔らかい感じで、正に冬咲きの「柊南天ヒイラギナンテン)」である。

*ヒイラギ(柊)と聞くと、クリスマスの頃に出回る、ギザギザした葉に赤い実のついた枝を思い浮かべる人が多いだろう。赤い実がつくヒイラギは、正しくはセイヨウヒイラギで、ヒイラギとは別種の植物。セイヨウヒイラギはヒイラギと同じように葉の縁にギザギザとした突起がある。ヒイラギは雄雌異株で、雄花には雄蕊が2本あり、雌花は雌蕊が長く発達している。ヒイラギモクセイはこのヒイラギと中国原産のギンモクセイとの雑種。

**日本のヒイラギはモクセイ科で、やはり神の力が宿る「神聖な木」とされ、邪鬼祓いや魔除けのおまじないに使われてきた。棘のある葉に目を刺されて鬼が追い払われた説話が邪鬼祓いの由来。ヒイラギがモクセイ科であるのに対し、セイヨウヒイラギやヒイラギモチはモチノキ科。