2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧
足元を見ると、カランコエの花が咲き始めていて、冬の到来を感じます。カランコエ (Kalanchoe crenata、和名ベニベンケイ) は肉厚の葉が特徴的な多肉植物で、晩秋に4弁の小さな可愛い花をたくさん咲かせます。多肉植物なので乾燥に強く、冬の鉢花として有名…
冬の天候でいつも気になるのは故郷の雪模様。子供の頃は大雪を何度か経験した。雪は確かに生活を苦しめたが、子供には天からの心躍る贈り物だった。雪に埋まる風景も自然の美を垣間見せてくれた。そんな雪景色の一つが南天の実で、雪中の赤い実は私の記憶の…
この2、3年で私が記した交雑や変種の主なものは次のような植物でした。 (1)シソ、エゴマ (2)ヒイラギ、ヒイラギモクセイ、セイヨウヒイラギ (3)サザンカ、ツバキ、カンツバキ (4)ノゲシ、オニゲシ (1)と(4)がわかりやすかった例なのに対し、(2…
南アフリカ原産のエリカの園芸種には、本当にたくさんの種類があって、それぞれ個性的な花を咲かせています。湾岸地域でよく見るのはジャノメエリカ(Erica canaliculata)で、その他にもホワイトデライト、コロランスなどの園芸品種が栽培されています。 エ…
オーストラリア原産のレケナウルティア(レシュノルティア、Lechenaultia)は「初恋草(はつこいそう)」という名前で流通している園芸品種です。クサトベラ科のレケナウルティアは小さな花を秋から春まで咲かせる低木で、西オーストラリア州を中心に26種が…
鬼を知りたい人には馬場あき子『鬼の研究』 (三一書房、1971、ちくま文庫)がおすすめです。歌人馬場あき子が「形は鬼なれども、心は人なる鬼」に惹かれて研究したのが本書(馬場あき子は1928(昭和3)年、東京生まれの95歳、日本芸術院会員であり、文化功労者…
ネズミモチとトウネズミモチはよく似ていて、区別が厄介である。だが、葉を光に透かして見ると、容易に区別できる。ネズミモチの葉はかなり分厚く、葉の裏から陽に透かしてみても、葉脈が殆ど見えないが、トウネズミモチでは綺麗に筋が見える(画像)。また…
クリスマスが近づき、既にヒイラギについて記した。ヒイラギと同じように、クリスマスに欠かせないポインセチア(Euphorbia pulcherrima)はトウダイグサ科の常緑性低木。和名は「ショウジョウボク(猩々木)」。今頃になると、ポインセチアは苞(葉)が紅葉…
師走が来て、老人が感じる時節感は次のようなピンボケ内容でした。 冬芽出て 安堵するかな 冬来る 冬芽見え 安堵すべきか 寒さなく 冬芽見て 異変の兆し 陽の光 それでも、昨今の一段と騒々しい世の中では「世はすべてこともなし」とはいきません。とはいえ…
ミヤマシキミはミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木で、別名はシキミア(スキミア)。10月すぎに成熟する赤い実はマンリョウなどと同様に、冬の庭園に彩を添え、地方によっては仏花や正月の飾り花とされ、「億両」とも呼ばれてきました。実の「赤」は葉の「緑…
下の文を読む前に、まずは画像を先に見て、花の世界を味わってみて下さい。 ビデンス・ジュジュゴールドはコスモスに似た花を冬に咲かせます。ビデンスは世界に230種ほどが分布するキク科の一年草、あるいは宿根草です。一年草はフェルリフォリア(Bidens fe…
タチバナモドキ(橘擬き、Pyracantha angustifolia)はバラ科トキワサンザシ属の植物で、別名はホソバノトキワサンザシ(細葉常盤山査子)。タチバナモドキの名は果実の色や形が扁球形でミカンのようなタチバナに似ていることから(柑子色)。 今はタチバナ…
湾岸地域でほぼ年中あちこちで見ることができる代表がカタバミの花で、ハート型の葉が3枚1組になっている。カタバミと言えば、小さく、目立たない花を連想するのだが、大きく派手な花をつけるのがオオキバナカタバミ(大黄花酢漿)。カタバミ科カタバミ属の…
ウンランモドキ(ネメシア)とも呼ばれるシュッコンネメシアはゴマノハグサ科で、中国名は龍面花。アフリカウンラン属はほとんど南アフリカに分布し、世界には約60種が棲息。耐寒性に優れて冬越しが出来るようになり、花は小型だが、早春から初夏、真夏は少…
12月に入り、街中のサザンカが赤い花をつけ始めた。たき火など見ることができなくなったが、サザンカは相変わらずあちこちで花をつけている。ツバキの花はまだでも、カンツバキ(寒椿、ツバキとサザンカの交雑種)は花をつけ出している。 タイワンツバキ(Go…
サルココッカは春になると小さな白い花が咲き、甘い香りを、また、葉にはツヤがあり、花や実が無いときは葉の緑を楽しむことができます。実は赤から濃い紫色へと熟していきます。サルココッカはツゲ科の常緑低木で、葉は濃い緑色で、光沢があります。 サルコ…
ノゲシ(野芥子)もオニノゲシ(鬼野芥子)もキク科ノゲシ属で、ヨーロッパ原産。ノゲシは史前帰化植物として日本に入ってきたのですが、オニノゲシは明治中期に帰化しました。タンポポと並んで、どちらも今では雑草中の雑草です。 名前から「野のケシ」を連…
雌しべと雄しべをつける雌雄同株の個体と、雌しべだけの雌花しかつけない個体と雄しべだけの雄花しかつけない個体が別々になった雌雄異株の個体があります。また、雌雄同株の一つの花に雌しべと雄しべをもつ両性花を咲かせる個体と、同じ株に雌しべだけの花…
李公麟の「五馬図巻(ごばずかん)」(1090頃)、レオナルド・ダ・ヴィンチの「馬のスケッチ」(1470-1519)、アルブレヒト・デューラーのエッチング「騎士と死と悪魔」(1513)はどれも見事な馬が描かれています。馬だけを抜き出して、見比べると、どの馬も…
早春のコブシの花の白さは春の喜びを見事に表現しています。でも、その後のコブシの実の形状もとても印象的で、一つとして同じ形のものはありません。花と違って実は千差万別の形の妙を見せてくれます。その実は秋が深まり、冬が近づくと、画像のような姿に…
秋のキクもそろそろ終わり。キクは東洋で最古の歴史をもつ観賞用植物の一つ。原産地は中国だが、早くに日本に伝わり、独自の菊文化を生み出してきた。日本独特の美意識にそって発達してきたキクには日本の精神風土や文化が凝縮されている。イギリスのバラと…
私がかろうじて見ることのできる小さな世界に小さな生き物がいる。観察者としての私は見るだけで、彼らを壊すことは簡単にできるが、彼らを理解することはまずもって不可能だと強く感じる。ものを作ったり、壊したりすることができても、それと意思疎通がで…
私にとってトチノキはとても気になる植物。子供の頃に栃餅を食べた筈なのだが、その味を思い出すことができず、それが今でも気にかかっていること、サルトルの『嘔吐』の中のマロニエの根が自分の考えるトチノキと随分隔たりがあると感じていることで、他の…
シソには品種が多く、それらの総称が「広義のシソ」で、食用にする葉の色により赤ジソと青ジソがあり、大葉は青ジソの別名。そして、エゴマは青ジソ(青紫蘇)と同種の変種。大葉はシソ科シソ属の一年草、名前の通りシソの仲間で、特に緑色のものを指す。大…
画像のバラの花を見ながら、予兆や予想をもつ人がいるだろう。例えば、世は危うく、壊れること必定だと思うかもしれない。そして、それが現実に起きたとき、かつて平安末期の先人たちは新しい宗教を生み出した。残酷で、悲惨な世界からの救いをかつて先人た…
空にはまだ残っているヒメリンゴの実、地にはノースポールの花が見え、世はすべてこともなし、と言いたくなるのだが、実際はそれとは真逆で、世はどこでもことだらけで、騒がしだけでなく、悲惨極まりなく、人命が奪われ続けている。 天と地がまるで違うよう…
良く晴れた午後、ヤマブドウの紅葉に陽が当たり、眩しそうに眺めていると、横を通った私と同年配の女性が、「それは何ですか」と尋ねてきました。黒く熟したブドウの実を示しながら、「ヤマブドウです。食べられますよ」と言うと、彼女は何の躊躇もなく、一…
ショウブは「菖蒲」と書かれ、アヤメとも読みます。植物のショウブはサトイモ科に属し、アヤメ科のカキツバタやハナショウブは別物です。さて、そのアヤメ科に属するディエテス・ビコロル(Dietes bicolor、英: African iris、fortnight lily、yellow wild i…
英語名がWild Teasel、学名がDipsacus fullonum、そして和名がオニナベナ(鬼なべな)、ラシャカキグサ(羅紗掻草)で、ユーラシアとアフリカ北部原産のスイカズラ科ナベナ属の越年草です。既にその花について記しました。 ティーゼルにはフロヌム(Dipsacus…
カタバミと言えば、イモカタバミ、フヨウカタバミなどが挙がりますが、肝心の「カタバミ」は多種多様で、カタバミの地方名は「かがみぐさ」、「すいば」、「しょっぱぐさ」、「すずめぐさ」など、200近くになります。 フヨウカタバミは学名Oxalis purpurea、…