タチバナモドキの実

 タチバナモドキ(橘擬き、Pyracantha angustifolia)はバラ科トキワサンザシ属の植物で、別名はホソバノトキワサンザシ(細葉常盤山査子)。タチバナモドキの名は果実の色や形が扁球形でミカンのようなタチバナに似ていることから(柑子色)。

 今はタチバナモドキ、カザンデマリ(花山手毬)、トキワサンザシを総称してピラカンサと呼んでいる。ピラカンサは春~初夏、木全体が真っ白に見えるほどたくさんの白い小さな五弁花を咲かせ、花が終わった秋~冬に、橙黄色の小さな実を枝が撓むほど沢山つける。ピラカンサの英名はFirethornだが、Fireが炎、thornが棘で、棘があり実が燃え立つ炎に見えることからつけられた。

 トキワサンザシ(Pyracantha coccinea)は欧州~アジア原産で、赤い果実がなる。カザンデマリ(Pyracantha crenulata)の別名はヒマラヤトキワサンザシ、インドトキワサンザシで、やはり堅くて鋭い棘がある。

 素人の私にはタチバナモドキ、カザンデマリ、トキワサンザシの区別はとても厄介で、それらが一括してピラカンサと呼ばれるのは好都合なのだが、赤い実をつける植物が多く、それが湾岸地域でも目立つことから、赤い実に基づいた一貫した説明システムがあると助かると思っている。