ノゲシとオニノゲシ、そしてアイノゲシ

 ノゲシ(野芥子)もオニノゲシ(鬼野芥子)もキク科ノゲシ属で、ヨーロッパ原産。ノゲシは史前帰化植物として日本に入ってきたのですが、オニノゲシは明治中期に帰化しました。タンポポと並んで、どちらも今では雑草中の雑草です。

 名前から「野のケシ」を連想しがちですが、ノゲシはケシ科ではなくキク科の植物。キク科のレタスを収穫しないと、茎が伸び、黄色いタンポポのような花が咲きます。ですから、ケシとは違って、ノゲシは食べることができます。

 オニノゲシノゲシに似ていますが、葉がアザミに似て、トゲが硬くとがり、触ると痛く、ノゲシより緑が鮮やかです。ノゲシより大きく、荒々しい感じがあり、名前に「鬼」がつくのが納得できます。ノゲシの茎はやわらかく中空、葉は切れ込みがあり、柔らかく、葉の形がケシに似ているところからノゲシの名前がついています。

 ノゲシの葉は茎へつくところがまっすぐですが、オニノゲシでは丸まります。さらに、ノゲシは葉の基部が茎に密着していて、基部が三角形の形をして後ろに突き出しますが、オニノゲシは三角形にならず、中には後ろに突き出さずに、丸く茎を囲むものもあります。

 このような説明から二つは簡単に見分けられるような気がしますが、実際に見てみると意外に厄介なのです。その理由の一つは二つの自然交雑種アイノゲシ(合い野芥子)があるためです。アイノゲシは不稔でタネが成熟しないのが特徴です。ノゲシとオニノゲシ、その交雑種アイノゲシは同じような場所に混じるようにして生え、私を困惑させています。

*画像はノゲシの花、ノゲシ、オニノゲシ、アイノゲシ