2020-01-01から1年間の記事一覧

ビワの花(初冬の季語)

11月13日にビワ(枇杷)の花芽について「果物のビワの実が思い出され、その食べ頃は初夏。今の紅葉の時期に花をつけ始めるビワはへそ曲がりで天邪鬼だと思いたくなるが、サザンカやツバキ、そしてボケも同じ頃に花をつけ始めることを考えると、少数派だが異…

皇帝ダリア、あるいは木立ダリア

コウテイダリア(皇帝ダリア)は学名の Dahlia imperialisを訳したもので、別名のキダチダリア(木立ダリア)は英語名のTree dahliaを訳したもの。それぞれ植物のサイズ、植物の茎の特徴から命名されていて、命名の仕方の違いを示している。兎に角、高さ8-10…

台湾椿の白い花

街中のサザンカが赤や白の花をつけ始めた。たき火など見ることができなくなった昨今だが、サザンカはあちこちで目立つようになってきた。JR有楽町駅の日比谷口から東京国際フォーラムに向かって歩くと、白い台湾椿の花が見えてくる。まだ咲いている花の数は…

紅葉と鬼と…

湾岸地域でもモミジが色づき始めた。となれば、思い出すのは紅葉伝説。「鬼滅の刃」で脚光を浴びる鬼たちだが、その鬼が登場するのが戸隠、鬼無里、別所温泉などに伝わる鬼女伝説。この伝説は室町時代から江戸時代にかけて、能や浄瑠璃、歌舞伎では「紅葉狩…

トベラの種子

目立たない脇役と評されるのがトベラだが、そのトベラが今の季節に示すとてもエロティックな姿には驚かされる。チャールズ・ダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィンはロマン主義文学とリンネの植物学がミックスされた自著『植物の園』(The Botanic Garden…

朝焼け

今朝は気温20度以上、南風が強く、雲も多かった。そのためか、私の眼前に現れたのが瞬時の朝焼け。空の広さ、雲の形状、太陽光線などが複雑に組み合わされて、見事な風景が一瞬生まれたのだろう。 人は風景の凄さ、美しさにしばしば驚嘆する。だが、それだけ…

二季咲きのサッフォー

江間章子作詞、中田喜直作曲の「夏の思い出」で尾瀬は観光名所になった。尾瀬で水芭蕉が咲くのは5月末で、それは尾瀬の春先。ところが水芭蕉は夏の季語。夏休みに尾瀬に行っても水芭蕉の花は見ることができない。「水芭蕉の花が 咲いている 夢見て咲いている…

ネリネとヒガンバナ

11月なのに足元に咲くのは彼岸花の狂い咲きかと訝るが、よく見ると彼岸花より小ぶりで、調べてみると、その名は「ネリネ」。ヒガンバナ科ネリネ属(ヒメヒガンバナ属)で、確かに彼岸花の仲間であると判明。 ネリネは南アフリカ原産で、大正時代に渡来。ヒメ…

金魚とかなりや

童話童謡雑誌『赤い鳥』は、1918(大正7)年、夏目漱石門下の逸材、鈴木三重吉が創刊。有島武郎、芥川龍之介、菊池寛、小川未明らが童話を、北原白秋、西条八十らが童謡を発表し、日本の児童文学に大きな足跡を残した。童話では、芥川龍之介「蜘蛛の糸」、「…

赤い実

「赤い鳥小鳥」は北原白秋作詞、成田為三作曲の童謡で、その歌詞は次の通りです。 赤い鳥 小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実を食べた 白い鳥 小鳥 なぜなぜ白い 白い実を食べた 青い鳥 小鳥 なぜなぜ青い 青い実を食べた 白秋の詩の策略は横に置き、鳥と赤い実の関係…

キリンソウとメキシコマンネングサ

以前はどちらもキリンソウ属(Sedum)でしたが、今はキリンソウ属(Phedium)とマンネングサ属(Sedum)に分けられています。でも、キリンソウの花はメキシコマンネングサにそっくりで、素人の私には花だけではまるで区別がつきません(花の画像)。メキシコ…

秋の葉の色の変化

紅葉は植物の葉にアントシアニンが蓄積し、クロロフィル(葉緑素)が減少することによって引きこされます。紅葉や黄葉の色は、アントシアニン、クロロフィル、カロテノイドの三種の色素によって決まります。昨日花の色について述べたように、アントシアニン…

花の色の説明

同じ木の枝に二色の花が咲き、紅白が競うように咲くと、「源平咲き」と呼ばれ、それはウメだけでなく、ツバキ、ツツジ、ボケの仲間にもあります。本来は赤い花の木なのに、赤い花に必要な酵素が働かなくなることによって白い花になってしまうのです。「源平…

不識の識、あるいは無知の知

インドから中国に来た達磨を熱心に迎え入れたのが梁の武帝。仏法に深く帰依する武帝は宮中に達磨を招き、教えを乞うのだ。 「私は寺をつくったが、その功徳は何か」 自分の善行への見返りは何かと尋ねたのである。それに対して達磨は短く答える。 「無功徳」…

チェリーセージ ホットリップスの花の色

チェリーセージはメキシコ北部原産の多年草で、高さ1.5mほどになり、茎の基部は木質化する。葉は卵形で対生し、縁には鋸歯がある。茎頂や葉腋から花序を出し、赤色の花をつける。条件によって、赤い色の部分の割合が変化し、白一色、赤一色になることもある…

ピラカンサの実

ピラカンサはバラ科ピラカンサ属の常緑広葉中高木。和名は常緑のサンザシに似た実をつけることから「トキワサンザシ」。タチバナモドキ、カンデマリもピラカンサと呼ばれている。タチバナモドキは黄色の実(画像)、カンデマリは平たい実をつける。ピラカン…

ビワ(枇杷)の花芽

ビワはバラ科の常緑高木で、果物のビワの実が思い出され、その食べ頃は初夏。今の紅葉の時期に花をつけ始めるビワはへそ曲がりで天邪鬼だと思いたくなるが、サザンカやツバキ、そしてボケも同じ頃に花をつけ始めることを考えると、少数派だが異端児という程…

クモの糸、クモの巣(網)

ナガコガネグモ、そしてジョロウグモは網をつくるクモとして私の周りでもよく見かける。ナガコガネグモの背は白、黒、黄が均等で、細長く、ジョロウグモは腹が大きく、内側に赤い紋がついていて、いずれもかなり派手である。 芥川の「蜘蛛の糸」(くものいと…

カクレミノの葉の形状から

昨日書いたカクレミノのことが後を引き、「葉」は生き物にとってどのような部位なのだろうか、と哲学っぽい問いが浮び、常套的に、 (1)葉は生き物にとってどのような機能、意味をもつのか、 (2)葉は植物にとってどのような役割をもつのか、 (3)植物の…

カクレミノの葉と実

既に何度かカクレミノ(隠蓑)について述べた。その概要は「葉は濃緑で光沢がある卵形の単葉で、枝先に互生する。花は6月から8月に咲き、実は長さ1cmくらいで先端に花柱が残り、晩秋に黒紫色に熟す。実の中には8mmほどの種が入っている。」であるが、そのカ…

ハコベホオズキ(繁縷酸漿)

外来種は「外人」に似て、多様性を示すと同時に偏見や差別、対立や分断を想起させる。固有種と外来種のいずれが重要か、などと問われると、問題の動植物に応じてその反応は異なってくる。とりわけ、人間の場合となると、対応の落差は信じ難いものがある。大…

ヒメイチゴノキの花

公園の5m程の高さのヒメイチゴノキ(姫苺の木)に小さな釣鐘型の白い花がたくさん咲いている。形状は同じツツジ科のアセビに似ていて、色は白かピンク。もう少しすると実がつき始める(実の画像は昨年のもの)。実は緑色、黄色、そして赤色に変わっていく。…

ヤツデの花

大きな葉が目立つヤツデはウコギ科の常緑低木。ヤツデは日本の固有種で、湾岸地域にもあちこちに植えられ、花の少ない今の時期に花をつけ出している。 分厚く光沢のある葉には長い柄と深い裂け目がある。葉の直径は20~40cmと大きく、「天狗の団扇(うちわ)…

マルバアサガオ、そしてノアサガオ

子供の遊び場の横にまだマルバアサガオが咲き残り、それがいたって元気で、嬉しい気分になったのだが、さらに歩を進めると、ノアサガオも咲いているではないか。アサガオはヒルガオ科の植物で、奈良時代に中国から種子を薬とするために持ち込まれ、その後、…

エゴノキの秋の花 湾岸地域の歩道や公園にはエゴノキが多い。5m以下の木が多く、春には白い花を沢山咲かせ、何とも美しい。そのエゴノキに白いものが見え、近づけば何と花が咲いている。むろん、花の数は少なく、僅かなのだが、11月に入って咲いているのは珍…

秋のアカトンボ

秋が深まる中、「赤とんぼ」(三木露風作詞、山田耕筰作曲)は日本人なら誰でも知っている歌。青空に映えて群れ飛ぶアカトンボは、秋の訪れを告げる季節の風物詩。そんな情景に浸りながら、へそ曲がりの私は「なぜアカトンボは赤いのか」と問うてしまう。 鮮…

どうして人は人を嫌いになるのか

人は人を好きになる。だから、好きでない人が生まれる。つまり、人は人を好きになるゆえに、人は人を嫌いになる。では、どうして人は人を好きになるのか。人は人を嫌いになるゆえに、嫌いでない人が生まれる。つまり、人は人を好きになる。これらは、好きで…

マユミの実

ニシキギ科のマユミ(檀、真弓、檀弓)の別名はヤマニシキギ(山錦木)。マユミは山地に自生するニシキギ科の落葉樹。近くの植え込みのマユミがコムラサキと同じように薄赤い実をたくさんつけている(画像)。マユミは実と種子だけでなく、紅葉も楽しむ庭木…

秋のススキ

イネ科ススキ属の多年草ススキ(芒、薄)は尾花とも茅(かや、萱)とも呼ばれ、秋の七草の一つ。秋に茎の先端に長さ20~30cm程度の十数本に分かれた花穂をつける。花穂は赤っぽい色だが、種子には白い毛が生え、穂全体は白っぽくなる。かつては農家で茅葺(…

七変化するランタナ

ランタナは南米が原産で、世界中に帰化植物として定着している。クマツヅラ科シチヘンゲ属の常緑樹で、赤色、橙色、黄色や白色など花の色が多いだけでなく、花色が次第に変化していく。そのため、別名が「七変化」。花の期間が長く、実がつく時期と重なり、…