ナズナの花

 アブラナ科のナズナ(Capsella bursa-pastoris)の開花は1月中旬から5月中旬頃まで。「なずな(薺)」は「撫菜(なでな)」が変化したもので、「なでたいほどかわいい菜」という意味からつけられた。また、夏に枯れて無くなることから、「夏無(なつな)」が変化したとも言われている。ナズナは春の七草の一つ。花は白い4弁花で、アブラナ科の典型的な花。花の下に並ぶハート形の三角っぽい果実は「ぺんぺん草の鞘」で、果実が左右対称で扁平、花序が上に向かって伸び、下から順に果実が成熟する仕組みになっている。

 別名は風に揺れる音から「ペンペン草」、実が三味線の撥(ばち)に似ていることから「三味線草」。秋に芽生え、地面にはりつくように葉を広げ、春になると花が咲く。ナズナは畑や道端など至るところ生え、「春の七草」の一つに数えられている。生命力が旺盛なことから、よく雑草と思われがちだが、正月七日に食べる七草粥(ななくさがゆ)には不可欠の植物である。

 私がナズナで思い出すのは「モデル生物」。モデル生物の代表例はショウジョウバエ、大腸菌。モデル生物は生物学、特に分子生物学で生命現象の研究で使われる生物種。シロイヌナズナもそのモデル生物の一つで、2000年に植物としては初めて全ゲノム解読が完了した。ゲノムサイズは1.3億塩基対、遺伝子数は約2万6000個と顕花植物では最小の部類に入り、染色体は5対。ゲノムサイズが小さく、一世代が約2か月と短く、室内で容易に栽培でき、多数の種子がとれ、形質転換が容易である。