「菜の花畑に入り日うすれ」で始まる『朧月夜(おぼろづきよ)』は高野辰之作詞、岡野貞一作曲の文部省唱歌で、叙情歌、童謡として歌い継がれてきました。その菜の花はアブラナ科アブラナ属の植物の総称。原産地は西アジアから北ヨーロッパの地中海沿岸地域で、開花時期は2月~5月頃で、黄色い4枚の花弁を持つ十字形の花を咲かせます。菜の花は、その用途によって三つのタイプに大別できます。まずは食用で、主に花茎や葉を食べます。次は観賞用で、花を楽しみます。最後は油糧用で、種子から油を採取します。食用、観賞用、油糧用の用途に応じて、菜の花の品種は実にたくさんあります。
今の季節は菜の花をよく見ます。土手に咲く黄色の花はセイヨウカラシナとセイヨウアブラナ。どの川の土手にも黄色の花が咲き、探すのは簡単です。二つの違いは、茎から伸びる葉のつき方。セイヨウアブラナは茎から伸びる葉が茎を抱いて包むようについています。茎からすっと葉が伸びるのはセイヨウカラシナ。二つとも野生化したアブラナ科の植物です。また、花でも特徴が違い、セイヨウカラシナの花の方が小ぶりで、咲く花の数も少ないのですが、この識別法は比べないとわかりません。
一方、食べないとわからない識別法もあります。ハマダイコン、セイヨウアブラナ、セイヨウカラシナはどれもダイコンの仲間。「セイヨウアブラナの葉は甘みがあり、大変美味しいが、大根の葉はまずい。セイヨウカラシナの葉は辛味があり、やはり美味しい。ダイコンも辛く、不味くはない。ハマダイコンの葉は苦味と辛味が強い。」となり、これらは食べてみないとわかりません。
こうして、菜の花は植物以上の存在として私たちの生活に溶け込んでいることがわかります。
菜の花の 畑の中に 吾がいる
菜の花に 囲まれ我に 春が来る
眼前に 菜の花があり 見える春

