ヒナゲシの一種であるナガミヒナゲシが散歩道のあちこちに目立つようになってきた。綺麗な花をつけ、栽培種と思ったりするが、1960年ごろ見つかったヨ-ロッパ原産の帰化種で、瞬く間に全国に広がり、今ではどこにも咲いている。ケシと聞くと、まだ熟していない果実の乳液からアヘンやモルヒネを精製する栽培禁止の植物だと思ってしまう。だが、ナガミヒナゲシは「長実雛罌粟(ヒナゲシ)」と書いて、長い実をもつ可愛いケシと名付けられた。それにしても雛罌粟(ひなげし)は読みも漢字も難しい。
雛芥子(ひなげし)、虞美人草(ぐびじんそう)、アイスランドポピー、アマポーラ(スペイン語)、オリエンタルポピー、コクリコ(フランス語)と、呼び名も種類も多彩で、飽きない。ナガミヒナゲシの花弁は非常に薄く、しわがある。つぼみは最初下向きで、表面に毛が生えており、咲くときに顔を上げ、二つに割れて花が出てくる(画像)。
ハナビシソウ(花菱草)はケシ科の耐寒性一年草。別名がカリフォルニアポピーで、カリフォルニア州の州花。明治時代に渡来し、家紋の花菱に似ていることから、この名がついた。ハナビシソウは花が大きく、花色も豊富。アイスランドポピーもケシ科の多年草で、シベリアが原産。普通に「ポピー」といえば、この花のこと。和名は「シベリアヒナゲシ」。
*ヒナゲシは「虞美人草」と呼ばれ、項羽の愛妾虞妃(虞美人)が自殺した時、その血の中から咲いたという伝説がある。栽培禁止品種を除き、日本で普通に栽培され、野生化している花はヒナゲシ、オニゲシ、アイスランドポピーの三種類。帰化種のナガミヒナゲシや栽培種のヒナゲシのどの花からもアヘンやモルヒネは取れない。



(ハナビシソウ)
