実梅の花

 花梅は随分前に花が開いたが、ようやく実梅(みうめ)の花が開き出した。食べる梅となれば梅干しだが、その代表例が南高梅。実梅は花も実も楽しめ、育てやすく、農薬もほとんどいらない。ウメは品種が多く、中国からの渡来種のほか、江戸時代に多くの品種が生み出され、現在では300種以上ある。花の観賞が目的の「花梅(はなうめ)」と、実の採取が目的の「実梅」に分けられるが、二つの区別は人の都合による区別に過ぎない。

 花梅は花さえ観賞できればよいので、実がつかなくても、美味しくなくても構わない。花梅はもっぱら花を目的に改良されていて、赤やピンク、八重やしだれなど色やその姿も実に様々。実梅の花は虫に受粉してもらうためなので、虫が集まりやすい白い花の方が都合よく、花の時期もあまり早いと受粉してくれる昆虫もいない。だから、実梅は無難な花姿で、ゆっくり開花する。とはいえ、実梅の花も立派なウメの花(画像)。

*残りの二枚の画像が花梅

**ウメは中国原産。『万葉集』では白梅が、平安時代になると、紅梅がもてはやされた。菅原道真が住んでいた天神御所は別名「白梅御殿」、別邸は「紅梅御殿」と呼ばれ、邸内には多くの梅が植えられていた。彼が詠んだ有名な歌は九州の大宰府へ左遷が決定し、「紅梅御殿」から出発しようとした時に、庭の白梅を見て詠まれたもの。

東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春なわすれそ

歌の梅は道真を追って九州の大宰府まで飛んで行き、「飛梅」と呼ばれている。