紅梅の花

 奈良時代にまず伝来したのが白梅で、その後に紅梅が入ってきて、それぞれを区別して、「紅梅(こうばい)」、「白梅(しらうめ、はくばい)」と呼ぶようになりました。「紅梅」の文献上の初出は『続日本後紀』で、そこでは紅梅が遅咲きで、白梅が開花した後、遅れて咲くと述べられています。実際、私の経験でもその通りで、白梅が咲いて1、2週間ほど後に紅梅の花が開きます(画像は今開いている紅梅の花)。

 ウメはバラ科サクラ属の落葉高木。5枚の花弁をもち、1センチから3センチほどの花を咲かせます。花の色は白、またはピンクから赤。開花は1月中旬頃から咲き出すもの、3月中旬頃から咲き出すものなど、様々あり、サクラと違って、咲き方も散り方もゆっくりしています。

 梅の源平咲きは有名ですが、一本の木に赤と白の花が咲く理由は、白い花の木に赤い花が咲くようになったのではなく、赤い花の木に白い花が咲くようになったからです。梅の場合では、紅梅の木に白梅が咲くようになったのです。赤い色はアントシアンという色素から作られますが、赤くなるためには、多くの酵素を必要とし、この酵素が一つでも正常に働かなくなると、赤い色になれず、その結果白い花になってしまうのです。