ウメ、サクラ、ハナミズキなどは白やピンクの花をつけます。今はウメがあちこちで咲いていますが、湾岸地域ではウメが次第に減って、ハナミズキが増えたような気がします。いずれも白とピンクの花をつけますが、アメリカ原産のハナミズキと違って、ウメは中国原産で、遥か昔から日本文化の担い手となり(例えば、尾形光琳「紅白梅図屏風」)、その実は貴重な食用となってきました。そうなると、「ウメ」ではなく「梅」と書いた方がしっくりきます(「ウメボシ」ではなく、「梅干し」)。
美味しい梅干しは白梅と言われますが、紅梅か白梅かは咲いた花の色ではなく、木の幹の断面の色によって決められているとのこと。ですから、「白い花の咲く紅梅」や「赤い花の咲く白梅」もあるようです。紅梅の木の断面はピンクのような淡い紅色をしていて、白梅の木の断面は白っぽい色をしています。梅干しが白梅なら、紅梅はその幹の色の美しさから、器や家具などを作るのに適しているそうです。
昨日、歌川広重の浮世絵の画像を載せましたが、ゴッホは浮世絵に魅了され、400点以上の浮世絵をコレクションし、さらにたくさん模写しています。その一つが画像の「江戸内大木(花咲く梅の木)」で、絵の左右に漢字を描きましたが、装飾に過ぎないのか、意味ある文字なのか、謎を含んでいます。
広重の「名所江戸百景」は1856年から出版されていて、総数は119枚。「広重ブルー」などと評される藍を生かした着色法で、天候の変化をうまく風景の中に生かし、豊かな抒情性を表現しています。模写はゴッホだけでなく、モネやホイッスラーも行っていました。