1月のコブシ

 早春のコブシの花の白さは春の喜びを見事に表現しています。でも、花の後のコブシの集合果の形状も花に劣らず印象的で、一つとして同じ形のものがないのです。花と違って果実は千差万別の形の妙を見せてくれます。そして、その実は秋が深まり、冬が近づくと、画像のような姿に変わります。その形状に砂浜に打ち寄せられた枯れ木の姿を連想する人も多いことでしょう。

 コブシの木を公平に眺めるとなれば、花や実だけでなく、幹、枝、葉も見なければなりませんし、1年を通じてその変化を見続けなければなりません。私たちが植物を見る仕方はとてもせっかちで、一面的です。一つの植物を公平に、客観的に見ることはほぼなく、特定の部分ばかりを大抵は偏見に基づいて見ています。その不公平な見方の際たる基準が「美醜」です。そして、美ばかりが注目され、醜は無視されることになります。ですから、美醜の基準を忘れ、コブシの姿を様々に見つめ直すと、そこに新しい自然の姿を発見できるのかもしれません。

 コブシの名は集合果が「拳」に似ていることに由来し、早春に白い花を咲かせ、葉が大きく、木陰を作りやすいため、湾岸地域でも街路樹や公園樹として利用されています。寒さの中でホッとするのがモクレン科の花芽で、それを見るだけで春の暖かさを感じてしまいます。今年も既に小さな花芽がたくさん出始めています。コブシのグロテスクな実がまだ残る横で、ネコヤナギに似た花芽が出始めています(画像)。コブシの冬姿を丁寧に見ると、花芽が美を、枯れた実が醜を代表しているとみることが私たちの一面的な見方に過ぎないのだということがわかる気がするのです。

*画像はコブシの花、花の後の集合果、そして残りの3枚は1月の花芽と集合果

コブシの花

コブシの集合果

コブシの花芽