紅葉と綿毛

 落葉樹の秋となれば紅葉、黄葉だが、足元の綿毛の秋も捨てがたい。綿毛は秋に限られないが、どれも春の新緑や蕾とは随分と違っていて、実りと終わりの季節であることを色と形で表現している。

 紅葉や綿毛が一つの風景へと纏められるには知識や経験が複雑に絡んでいる。景色への総合的感性と幾何学的形への分析的感性とは随分違うのだが、私たちは「美しい」という言葉でものの見事に統合してしまう。